國家は私達から、乙女の夢まで、取上げてしまふのでせうか。

貧乏は恥。

世間では年収300万円時代とかなんとか言っているが、我が家はもうずっと昔からそうだ。むしろ今の方が(収入自体の少なさを別にして)生活は優雅なくらいだ。家(「うち」。「いえ」って発音禁止。)がよそん家(ち)よりも貧乏だなんて気づいたのはつい数年前だ。しかも。おれは人づき合いってもんが30歳を幾つか過ぎるまで殆どなかったんで世間の相場ってもんをただ知らず、知った途端にショックで座りションベン、三日は寝込んだ。けどそんな我が家でも、両親には海外渡航経験が既に数回はあり、4LDKの一軒家(12?年前に改築済み。ローンはまだ残っているが)を購入できる。それが高度経済成長の御蔭様。そんなこと、30年前じゃまったく考えつかなかったもんだ。(当時は2DKの貸家住まい。海外旅行だなんてまったく考えたこともなかった。テレビだって一台しきゃないし)とはいえ、家(うち)の場合、その後特に収入が増えたってこともない。増えようもない。単なる零細企業の従業員じゃ。「昇給」、なんてものは存在しないのだ。(ずっと手取り20万円ほどだろう。家〔うち〕の父親の稼ぎは。ボーナスの話なんて家〔うち〕じゃ聞いたことない。出てはいたんだろうが、全て生活費に充当されていたと思しい。)(母親は常に「生活のために」ウェイトレスや事務員をやって月に10万〜12万円ほどを得ていたと思う。実は70歳近くなる今でも近所の弁当屋でバイトして5万円ほど得ている。ローンがまだ残ってるし、おれに大した稼ぎがないんでな)ただ消費の仕方が大きくなったのだ。あと年金がなくなる云々て話もあるが、年金なんてそもそも戦後ある程度の年数が経ってからはじめてあるようになったもんじゃねえか。戦前にはそもそも「福祉」自体存在しない。それにいまでも国民年金夫婦合わせて4,5万〜10万円程度でなんとか遣り繰りしてる人たちだってそれなりの数はいるのに、そういった人たちのことはまるで世間は無視。存在しないみたいだ。(おれの母親のバイト先にも正に食う為に70歳とかそれくらいの年齢で働いている人がいる。フルタイムで出て休みは週に一度で)