國家は私達から、乙女の夢まで、取上げてしまふのでせうか。

ハピネス三茶

〔今日はそんなに悪い日じゃないと世界中の誰もが思える日まで〕
「すいか」は特になんの前触れもなく始まった。一回目を見た人の大半は偶々(たまたま)だろう。「ぼくの魔法使い」見てたんでなんとなく次の週も同じ局、同じ時間に。そうした人たちは発見してしまった。つまりは泣いちゃった。「すいか」の優れていた幾つかの証拠のうちひとつはキョンキョンがとてもとてもよかった、ってことだろう。彼女は女優としてはよい資質を持っているが、それを生かすというよりもサブカル的文脈で未だに扱われがち。もう21世紀だってのに。80年代じゃアルマイト洗面器なのでR。たぶん「すいか」だって彼女の位置付けにそういった気味はあったと思うが、それを越えてしまった。なんのことはない、作品がよかったのだ。ただそれだけ。キャスティングはいずれも素晴らしく、キョンキョンはその中の一人であるに過ぎず、それゆえに彼女は生きていた。「馬場ちゃん」からのたまの連絡は「ハヤカワ」じゃなくたって嬉しかった。おれだって。誰だって。そしてもうひとり又挙げるならばそれは白石加代子。彼女に興味を持った人は『女囚さそり 第41雑居房』を推奨。そこでのアングラな演技が実は「すいか」へとつづき、それはピタリとはまった。現実のおかあさん、てのはああいう表情を、話し方をするんだ。きっと。言うまでもなく、あの、病院から出て来た時の小林聡美とのやりとり。あれは白石加代子じゃなくて誰に出来る?
さて今日、録画して残っていたのを見ていたら、「すいか」、「第何回」とか「何の巻」の類が見当たらなかった。