御用聞き

御用聞きなんて、いまはサザエさんの中にしかいない。
小学校の低学年の頃、うちに来た御用聞きの酒屋のおにいちゃんはコマ回しが得意で、その人が来ると
ともだちなんかとカッチョイイ技を披露して貰うようお願いした。もちろんやってくれた。
なんかそんな世の中だった。70年代の始めあたりはまだ。
いまはもう米屋も酒屋もない。そういうのはスーパーや安売りの専門店へ車で買いに行く。
御用聞きはやがて暖簾分けしてもらい、自分の店を持つ仕組みだったんだろうか。
「世の中みんなサラリーマン」という事実&誤解はしかしいつから拡まったのだろう。
「職人」てものだって世の中にはある。
うちはおれがほんの乳幼児の頃までラーメン屋をやっていたのだが、
おとうちゃんが言うに自分で店始める以前、そば屋に「小僧」(こういうものがあったのだ。
こういう制度が。)で入ったばかりには(小僧とはいっても父親は高卒で東京に出て来てからのことなので
18歳以降のことだ)給料というのはなかったらしい。戦後のことだ。言っとくが。
昭和二十年代の終わりから三十年代の始めくらいか。たぶん。
日本てのはまだそんな風だったってことだ。高度経済成長以前は。
中卒者は「金の卵」と呼ばれ地方から出て来て、小さな町工場などに就職したのだ。永山則夫
そういうことを考えると昨今の「フリーター」談義なんざまことばからしい。なに言ってんだか、って感じだ。
賃金も上がった。冬でもあったかい。お湯が出る。そしてマイカー。平均寿命は著しく伸びた。
小学生の身長も脚の長さも著しく伸びた。「短足」なんて、よせばいいのに「NEW BALANCE」のCMに
ニューヨーカーとして出演して、セントラルパークを歩いてる坂本龍一のそれくらいなもんだ。
豊かさに目が眩み、現在の貧しい人々は忘れられてゆく。かつての貧しい人々も忘れられてゆく。
よその国の貧しい人々はTVに映るだけのものであって、実感とはほど遠い限り。
お金かぁ。欲しいね。ギミサムマネーザッツホワダイウォント!