國家は私達から、乙女の夢まで、取上げてしまふのでせうか。

坂口安吾

《 昔の日本映画には何度か競輪場が印象的に登場している。
そんな「日本映画における競輪場の系譜」というのもありそう。 》
id:foujita〕(3/24/2004)
これに関して思い浮かぶのはその名もズバリ「競輪上人行状記」(あ。おれが生まれた年の映画だ)。
この映画が出来た頃くらいにはうちの父親も競輪やったりしてた筈で(いまはたまぁのパチンコ
くらいしかやらない)、あまり品の良くない娯楽として当時くらいまで競輪はポピュラーだったんだと思う。
「仁義なき戦い 広島死闘篇」を思い出せばよろしい。婦女子はおろか、
まともな社会人がやるようなもんじゃなかったのだ。
当然ヤクザ絡み、八百長アリ、カタギじゃあってもやさぐれたような人間がやるようなそれ。)
で、さて、競輪は戦後間もなく、大ブームになったもので、戦前にはそんな大っぴらな
バクチってのはなかったんじゃないかと思う、映画に度々登場するのもむべなるかな。
お天道様が眩しいような人間を描くにはちょうどイイ舞台ってこったろう。
そしてなによりギャンブルに不案内、全くやらないおれにとって戦後における競輪といえば
それは坂口安吾の競輪に関するエッセイ群だ。
たぶんクスリの副作用のせいだと思うが、安吾ファンには御馴染みのエピソード、
八百長だと安吾はあるレースに関して懸命に言い張り、しまいにはヤクザに脅かされたのなんのと
盛んにエッセイに書いたりしていた。(脅かされた云々、ってのは単なる妄想かも知れんが)
いや、実は細かいことはなにせ高校生の時分に読んだっきりなのでまったくに忘れちまってるが、
ともかくだ、〈戦後、競輪、安吾〉というのはおれにはワンセットなのだ。