國家は私達から、乙女の夢まで、取上げてしまふのでせうか。

小津安二郎

昨日DVDでひさしぶりに「彼岸花」を観たので感想など書いてみたい。
あの、この時期のカラーな小津映画のタイトルバックに使用されている例の布地みたいのがあるが、
みんな知ってるやつ、あれね、あれってボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズのアルバム
「ラスタマン・ヴァイブレーション」のジャケットを思い起こさせる。あれはもちろん麻だったりするが、
小津安二郎のそれがなんであるか知らないが、この際あれも麻だってことにしてしまえば、
つまりは小津映画、実はマリファナの香りに溢れていたということになるじゃないか!
道理で欧米でのウケがいい筈だ。それもヤングな諸君にまずウケたワケだよ。なぁる。
彼奴らと来たらもちろんどいつもこいつもあいつがおれでおれがあいつで、
ハッパ吸いながら映画観るような手合いばかしなんだ。
ガンジャ回しながら小津映画でトリップってわけかい。謎が解けた!
小津映画、どうもどこか夢見てるようなヘンな感じがした筈だ。
となると例のピロー・ショットってのもなにかの合図だな。そいつの正体はまだわかんねえが。
あんな狭っ苦しいビルとビルの間なんか映して一体どういうつもりかとは思っていたら。
小津映画、でかいスクリーンに投影して、マリファナの煙モクモクと、斎藤高順の音楽でレイヴ・パーティー。
チルアウトしたい時は「ちょいと」と言うのが決まりだ。
「彼岸花」に限らずこの時期の作品に出て来るビールはいつも「アサヒ」のような気がするが、
当時タイアップとかあったんだろうか。
撮影所システムが機能してたような時期にそういう事ってあったんだろうか。
アサヒビールのCMに小津映画サンプリングするって企画はやはり出たんだろうか。
佐分利信は重役で個室とはいえ、私用で訪れる人間が幾人もいて、「プライヴェートで回しすぎ」
てやしないだろうか?とちょいと気になった。
それともあれかな、あの会社、実はCTU
この時期の松竹映画、桑野みゆきがいまどきの娘。役で活躍してるが、しかし彼女、
見る度思うがとてもスターのルックスじゃあないよなあ。地味顔で。(地味な小西真奈美?)
でも当時は松竹いち押し(かどうかは知らないが)の若手女優さんだったんだよなぁ。見る度ふしぎ。
「彼岸花」の製作年昭和33年(1958年)てのは戦後復興から次の時代への転換期なんだろうなぁ。
東京タワーだってこの年だし。(→ここで加藤夏希へリンクした)
この年に生まれた作家その他を考えてみると結構重要な年でもある。
小津映画には「電話が掛かって来る」ってシーンはあるんだろうか?ちょいと気になる。
昔コミさん(田中小実昌)が『映画では電話が映ると必ずベルが鳴る』とか書いていて(もちろん否定的な意味合い)、
それ以来映画で電話機がアップになったりする度落ち着かないのだ。
「若松」のおかみ相手にセクハラ。この時期の定番。
どっちにしろエロネタが多い。小津安二郎
溝口健二の純情っぷりに比べたら余程に悪い人だよ。小津先生は。