國家は私達から、乙女の夢まで、取上げてしまふのでせうか。

韓英恵(かんはなえ)

もう昨日から彼女のことで頭がいっぱい。他に考えられない。
で、思ったんだが、彼女の年齢を鑑みるに条例及び倫理的に問題があるので
この際、おれの娘だったら、と考えてみることにした。
おれに、はなちゃんくらいの年頃の娘がいてもおかしくはないし。
「あ。パパ、おかえりなさい。カバン持つよ。」
「なんだ、はな、また迎えに来たのか。べつに駅までいちいち来なくてもいいって言ってるじゃないか。」
「・・・・。いいじゃん、はな、パパといっしょに歩きたいんだもん。」
「しょーがないなあ。おまえといっしょに歩くのもいいが、ペース遅いからな、はなは。
よそ見してばっかりいるし。パパは早くうちに帰りたいんだゾ。」
「どーして?ママが待ってるから?でも、はなだって待ってるよ。それで待ちきれないから、
こうやって迎えに来るんじゃん。」
「はな、パパはね、仕事で疲れてるんだよ。いまはママの顔見るよりも早くお風呂に入りたいんだ。」
「お風呂か。ママはどーでもいいんだ。それに、はなのことはもっとどーでもいいんだ・・・。」
「また、はなはばかなこと言って。そんなことより、はな、ボーイフレンドとかいないのか?」
「いないよ。そんなもん。クラスの男子なんかみんなばかみたいだしさ。
あいつら幼稚なんだよ、だって。将来のこととかなぁ〜んにも考えてないんだから。」
「はな、中学生の男の子なんてのは、みんなそんなもんだよ。パパだって中学の時は
ともだちと遊ぶことと女の子のことで頭いっぱいだったんだから」
「女の子か。でも違うよ、あいつらとは、パパは。クラスのばか男子はぜぇ〜ったい
パパみたいにはならないもん。なるはずないもん。
はなの大好きなパパは世界中にパパひとりだけだもん!」