國家は私達から、乙女の夢まで、取上げてしまふのでせうか。

マディ・ウォーターズ

Electric Mud
『Electric Mud』(asin:B000002OCP)、先立って書いた"My Girl"が気になったのがキッカケで、
そこを起点としてレコード(メディアはCDだけど、こういう場合「CD」で、って書くと味気ないし、
かといって「アルバム」って表現も大袈裟だし、昔からの習慣で「レコード」ってことに
しときたいが、そうもいかず厄介だが、とりあえず「作品」の意で「レコード」と今回は書く。
以後もできればそうしたけど、でも「レコード」って書くと、塩化ビニールかなんかで出来た
あれだとみんな思っちゃうよね。)の中に入り込み、ここ数日気に入って聞いている。
ピート・コージーのギターがギュルギュル、ギュンギュン、ギュインギュインと好き勝手してて、
そこに絡むベースとドラムが妙にスローペースでドタドタしていて速度が遅く、そこがなんとも
ふしぎな感じで味わい深く、そんなバックにマディー・ウォーターズの太い声が重なる。
なんだよ、これ。傑作じゃん。単にビザール風味だけ期待して聞いてみたんだけど、
フツーにカッコイイよ。これ。気持ちいい。グイグイしててファンキー。
ファンカデリック好きな人だったなら好きになれるかも。
そういえばこのアルバムの今風の再現を試みた企画を映画化した『ゴッドファーザー&サン
asin:B0006ZXETS)とか、一連の『ブルース・ムーヴィー・プロジェクト』(asin:B0006ZXES4
シリーズ、やっぱ「レンタル禁止」なんだろうなあ。たぶん。音楽絡みはむずかしい。世知辛い。
件のシリーズ、中でヴィム・ヴェンダースの『ソウル・オブ・マン』(asin:B0006ZXESE)とか
あるけど、『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』よりは、まだしも思い入れも感じられる
対象なだけにマシなもんにはなってるかも知れんが(未見)、でもどうせならレイ・デイヴィス主演で
ドラマを撮るべきだよ。そうしたならレイ・デイヴィスという人はとっつきのわるい、
剣呑な人じゃあろうから、作品としては失敗する可能性大だけど、でもでもでも、きっときっときっと、
失敗作ではあっても愛しい、そういう映画にはなる筈だよ。だって、キンクスだったならば
ヴェンダースの思い入れも本物だろうし、ドキュメンタリーより絶対ドラマの人だもん。