國家は私達から、乙女の夢まで、取上げてしまふのでせうか。

平野勝之

今日レンタル屋を一個見つけ、試しに入ってみたならば、なんと!
平野勝之の「わくわく不倫講座」を発見!わぉ。
早速入会、借りる。
ハードディスクに録画しながらそんな集中してたわけじゃないけど、ひさしぶりに、
つまりは10年以上ぶりに見る。(この中で平野勝之は30歳とあるから、おれもそんぐらいの年の頃だ。)
後半、近未来になるの以外はぜんぜん忘れていたが、ああこんなだったんだぁ。
今回見直したならば前半の「志方まみ」(これは彼女を巡る物語)、
彼女のシャベリや表情が実にいいのだった。それに「ハニーひらの」の。
そんで最後の方、「NO PROBLEM」とかいう字幕が出るのだが、そりゃあんたはいいだろうけど、
奥さんの「ハニー」とかその他の人間は一体いいのかしら、まったく自分勝手もいいところ、
と得意の平野節に呆れながらの感動。
そんで「志方まみ」、近未来になってから、それを井口昇が演じて、平野勝之との
ファックシーンがあるのは憶えていたが
(これがもうなんとも。ほんと勘弁して欲しくなるのだが、それだけについ見てしまう、怖いもの見たさ)、
(あくまでも「志方まみ」とのそれなのでホモ行為ではなく、手マンチョとかをするわけだよ、
平野勝之がショーツを着けた「志方まみ」の局部を。そんで「志方まみ」が喘ぎ声を上げるの。
もぉ、なんとも云えない。サイコーなんだけどさ。そこ。)
それ以外にも2人、つまりは「志方まみ」本人以外に3人の、つまりは「4人1役」なのだった。

(原宿竹下通りでの平野勝之&「志方まみ」に扮した井口昇によるキッス。。。)
あと最後の方の、砂漠を「志方まみ」を担いで行くのって「マノン・レスコー」だなあ、
とか今回気づいた。ほんとそういうつもりかどうかは知らないけれど。
でもイメージは借りてはいるとは思う。
当時まだ一般に東陽一の、烏丸せつこが出てる「マノン」の記憶もあったし、
その元になったフランス映画の「情婦マノン」(asin:B0007WZV0K)も
おれぐらいの世代の名画紹介本とかにはまだ定番で載っていて認識があったし。
そんでついでに。ヌーヴェル・ヴァーグ余話。
昔々の日本で一般に称揚されていた「おフランス映画」みたいのを知らないと
ヌーヴェル・ヴァーグが正に新しい傾向だったことがわかんないと思う。
いまとなってはヌーヴェル・ヴァーグがまるでフランス映画の権威、
スタンダードみたいに若い人には思われているかに思われるし。
もうジュリアン・デュビビエとかマルセル・カルネルネ・クレール
フランス、特にパリへの憧れの象徴だったりした時代をみんな知らないんだもんなあ。
とにかくもう「フランス」ってだけでありがたみのあった時代。
(「おそ松くん」の「シェー!」で有名なイヤミがおフランス帰りをしきりに自慢するとかさ。)
そういう「良質」な映画ばかりが称揚され、ハワード・ホークスヒッチコック
くだらない映画として扱われていた、そういう雰囲気がまだおれの子供の頃には
少し残っていたさ。名画紹介の本みたいのにはそこいらが定番だったし、
NHKの名画劇場ではなにかというと「北ホテル」とか「舞踏会の手帖」とか「巴里祭」とかを
やってたような気がする。今は逆にそこらへん、殆ど忘れられている感じだ。
ジャン・ルノワールといえば「大いなる幻影」ぐらいしかまともに公開されてはおらず、
しかも当作品、反戦映画としての括りで評価されていた、そんな風でした。昔は。
「ゲームの規則」がようやく公開されたのはおれが学生の頃、80年代に入ってしばらくしてからだ。
そこらへんからどんどん映画の観方も評価される監督、おなじ監督でも評価される作品が
変わっていったんだと思う。蓮實重彦が言及しているような、更にはヌーヴェルでヴァーグな連中が
なにかと名前を挙げていた作品に触れる機会がようやくやって来たのだ。
そうだ、ヒッチコックだって「ロープ」「裏窓」「ハリーの災難」「めまい」といったあたりが
再公開されたのは、これまた「ゲームの規則」が公開された時期の筈だ。
それ以前は日本での公開はあったが、20年以上の間、ずっと封印され、観る事ができなかったのだ。
いまはもう、そんなこと云ったら、なんでも観れるもんなあ。なんか凄いことになってるよな。そう考えると。