國家は私達から、乙女の夢まで、取上げてしまふのでせうか。

下北サンデーズ

目白雑録〈2〉―ひびのあれこれ

目白雑録〈2〉―ひびのあれこれ


小沢健二/ある光
最近TVもぜんぜん見る気がしないんだけど、昨日なんとなく
ドラマ「下北サンデーズ」、見てた。はじめて。
音楽がなんかトッポイ(昭和30年代のことば)と思ったら屋敷豪太じゃん。

BGM、最近はニュースでもなんでもやたらと使われてるのは
小西康陽による「喰いタン」、池頼広による「野ブタ。をプロデュース」。
あと「時効警察」(誰がやってるか知らない。調べない)も結構聞く気がする。

下北あたりの小劇場、おれがよく観に行ってたのはもう10年ぐらい前だ。
それまでずっと興味があったのに行った事はなかった。
おれなんか80年代小劇場ブーム真っ只中世代で、松尾スズキやケラ、
彼らの活躍は更にあとだけど、まあともかく、
そんなあたりとは同い年だし、でもおれは学生時代、
映画館にしか行かなかったし、行けなかった。
なんでかってと、チケットの買い方がわからない。
窓口にでも行けばそれでいいんだろうけど、それもなんか気後れして。
更に当時「ぴあ」はまだ隔週で、それなりに情報も載ってたし、
そこ見ればチケットも買えたのだろうけど、でも電話が怖かった。
それで買えなかった。というか、それ以前に漠然とチケットの取り方が
わからない、ってだけで気後れしてしまい、なんもしなかった。
それはライヴとかでもそうで、初めてライヴとかに行ったのも30歳過ぎてから。
人一倍、そういうの興味あるのにねー。

でもって、「下北サンデーズ」見てて、上戸彩が上京して劇団に
入ってなんとかやってこう、みたいな感じなんだけど、
それ見てたら、自分の若い頃のあまりの不甲斐なさ、
進取の気性のなさ、引っ込み思案に臆病さ、たかだか演劇のチケットも
買えない行動力のなさ、やる前からなんでも諦めてしまう、
そんなこんなに自分でやんなっちゃった。
もっともっとテキトーに、いいかげんに、考える前にとりあえず、
もうなんでもやればよかったのにね。
いまだってそれはおんなじ。
恋でもなんでも。

始める前に怖がりすぎてしまうし、自分を卑下してしまう。
プライドはたっぷりと高いクセに社会的には自分はまったくイケてない、
大したことのない人間だって思いが強すぎて、
自分を高く売り込めない、というか、自分をより以上に
低く評価してしまって、仕事でもなんでも低く低く選んでばっかりだった。

夢は昔からなかった。
なさ過ぎた。
もうちょっとおれも望めばよかったのに。
きっと高望みぐらいで、ちょうどいいぐらいに納まるもので、
それを元から低く設定してしまったら、更にふつう以下にしかならない。
ばっかだなあ。
いまになってわかる。
そんなことが。
Rei Harakami - Lust