國家は私達から、乙女の夢まで、取上げてしまふのでせうか。

松江哲明

なんか上手い事書いてやろうとばかりに思い、なかなか書き出せない。よくあることだ。
そんなわけでとりあえず書き始めることにする、などと書くと壮大な書き物でもあるかのようで、おれとしてはもちろんそういう大仰な展開もしたいところだが、実際は思いつきをいくつか並べてなんとなく〆。それが成り行き。
8月4日(土)は午前3時半前には起きてヒゲ剃ったりシャワーしたりして、4時半くらいにはもう家を出たのだった。まー、成田へと行った。見送り。我が家にこの2ヶ月間ばかり滞在していたお子たちの。
成田行ったの、2年ぶりだ、向こう着いて8時過ぎにはもうゲートの向こうへと彼らは行ってしまい、おれはちょっとだけ成田空港散策。
成田って、でも狭いんだよね。あんまややこしくもないというか。
BAGEL & BAGELで朝食を摂る。カプチーノとクリームチーズベーグル。ベーグルはブルーベリーのそれ。トーストしたやつを。
(どこへ行ってもメニューに「ブルーベリー」とあるとまず頼みたくなる)
空港にはSoup Stock Tokyoもあるが、これまで3度か4度、入ったことがあるが、いつもなんかピンと来ない。あまりそそられない。なんかパッとしないよね。味。Soup Stock Tokyo
デッキへ出る。
あれ?景色がつまらん。どうして?国際線でしょ?なのにどうして?
と、思いつ、やがて気づく、成田ってさあ、森ん中っつうか、あとはせいぜい畑っつうか、べつに見るもんないんだよねー、遠くの方に。
これが羽田だと、海に臨んでいるし、コンビナートとかなんとかブリッジみたいのとかビルとか、なんかロマンチックな風景でもあるけど、それが成田だと、あんましなのに実際行ってみて気づいた。デッキでビール飲むのなら、それは羽田。それにキマリ、と。
そうして成田を離れ、あとはテキトーにあちこちでねむい身体を持て余しつつ、昼にはビールなども聞こし召しつつ過ごし、やがては渋谷へ。
ドンキホーテ隣のフレッシュネス・バーガーへと入る。これが案外空いている。あといまどきめずらしい、タバコOKじゃーないですか、でもおれはもちろん喫わない、喫煙の習慣は元よりないが。
いつものようにオレンジティー300円で過ごす。いつものように、ってしょっちゅう行ってないんだけど。年に3回ぐらい、たぶん。フレッシュネス。大体田舎住まいだし、近所にそんな気の利いたモンなぞない生活だし。
ようやく午後4時も過ぎ、アップリンクへと整理券をもらいにゆく。なんかイベントやってた。絵の。まだぜんぜんかたづけ最中だった。おれが行ったときには。
そんでもって整理券もらうとカウンターバーがあるので、そこでハイネケンを頼み、一杯引っかけてしまい、スツールもあったので、そこに腰掛け、若干酔いつつ、開場まで、かたづける人が通り過ぎる中、気の早いおれは誰よりも早くから待っているのだった。はじまるのを。
夕方5時近くなり、入場。人もちらほら。映画が始まる。
場内暗くなり、トンネルを背にし、線路の上で緑のスカートに白いマフラー、そしてタバコを喫う女性が手持ちカメラで映し出される。『グッバイ・メロディー』、引き込まれた。あるべきところに人はおり、あるべき服装をして、あるべき仕草、そして時折歌詞を口ずさむようなそうでないような口元。映る人は徐々に増え、皆歩いてゆく。ビックリする。泣きそうになる。
松江哲明という人は女の子をキレイに撮るのと叙情的な景色を映し出すのは天下一品で、たぶん北半球で一番、南半球へゆけば、事態はきっと変わるが、もちろんそんなのはデタラメなので、収拾がつかない、次へゆく。
「セキ☆ララ」がはじまり、おれはようやくそれが、前に観たことのある「アイデンティティ」だと気づく。遅すぎる。どんだけ情報に疎いんだよ。まー、映画、ずっと見れなかったしー、情報にもなかなか疎くなっちゃっててさー、と言い訳もしてみたりもするが、「アイデンティティ」→「セキ☆ララ」、やっぱいいなー、段々思い出して来た、これ見て以前バクシーシ山下の、おなじく花岡じったが出てるやつへと連想を働かせたおれはえらかったが、エロビデオでしかし困るのは、消費物そのものなので、一度出ると基本それきり、しかも日々膨大な量が出てはいて、そんな中、V&Rの、それもバクシーシ山下のビデオなんか仕入れる店といえば数も限られていて、おれは幸い見ることが出来たが、人に勧めたくとも、あるいは「セキ☆ララ」見るなら参考にコチラも、というにはよほどの好事家でもない限り、つまりは中古ビデオを熱心に漁るような人じゃなきゃ、まずお目にかかれない、つまりは作品を共有したくともその機会、甚だむずかしい、ってことだ。V&Rならきっとマスターテープの保管もきちんとしており、テープ自体がなくなったりはしてはいないとは思うのだが、けど、商売にならないもん、メーカーが出す由もなく、ネットでお安く見れるようにとかってわけぐらいにはせめてならないものかしら。
バクシーシ山下監督の「私が女優になった理由〜望郷編」の後半にじった君は登場する。ちなみに。
つづく。(予定)