國家は私達から、乙女の夢まで、取上げてしまふのでせうか。

マイケル・ジャクソン

Billie Jean/Michael Jackson
「This Is It』昨日観た。
昨日今日とひどくさむい。さむくてくもってんのは、けどきらいじゃない。くうきがつめたくてきもちいい。
今日はまたひどく月がきれいだ。
おれは80年代をスルーして生きてきてしまった人間なので、あと年齢的にも少し上で、マイケルに思い入れはなくって、TVで観るか、「スリラー」を元ネタにしたコントやらなにやらを見るくらいのつきあいしかなくって、だからこれを見始めのうちはおれにとって思い入れのある、しかしすでに死んでしまった人たちのことなど思い悲しくなったりしてた。
だからはじめのうちはマイケルに、マイケルのファンに申し訳ないかの如く感じてたんだ。けどけどけど。彼がステージでスタジオで指示を出し、スタッフと話し、パフォームする姿を見てくうちに、いつか彼に引き寄せられてた。映画館のスクリーンの中でマイケルがひと際大きく見えて来たんだ。
マイケルの舞台やスタジオでのディレクターとしての才能、皆を引きつけ、的確にアドヴァイスをして行き、アイディアを出し、それぞれのスタッフの才を引き出していく姿、それは穏やかで、けれどそこでは確実に何かが出来上がっていく。ああ、大きい人なんだなあ、ってことばじゃなく実感してた。
スルーして来ちゃってもったいないことしちゃったね。おれ。
彼が生きていればおれは(ライヴに合わせて公開されていたであろう)この映画も見ず、そっかマイケル、世界中ツアーしてまわってんだなあ、ああ来日したねー、ぐらいの感想で済ましていたかも知れない。けど。それでもしできれば、きっとその方がよかったんだ。だってマイケルは生きていてライヴをし、さらに新しいアルバムだって作っていたろうから。

スリラー

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