國家は私達から、乙女の夢まで、取上げてしまふのでせうか。

母なる証明

あの時君は若かった/スパイダース


疲れてはいるが早起きして、6時、仕度済ますと出かけた。少し降ってる。
和光市で乗換えで、そのままなんとなく乗ったらそれは有楽町線で、すっかりおれは新宿行くつもりが、違ってた。なんか乗り換えればともかく新宿にゆくのだとばっかり。選ばないといけなかったんか。有楽町線はアウト!ってか、有楽町線だと気づいたのはだいぶん経ってから。池袋を過ぎたあたりからおかしいと思い始めた。でも「新木場」行きってあるとなんとなく新宿行きそうな感じがしてたんだよなあ。埼京線だとそうだからさあ。渋谷行き乗ってちゃんと副都心線じゃなきゃいけないのでした。あと今日はやたらしょんべんが近く、和光市で乗り換えるあたりから実はツラクなっていて、途中間違えたのに気づいてからはもうなんかさらにつらく。そんでもってなんとか我慢して飯田橋着。そこでしょんべんを出す。ほっとする。ほっともっと。ぜんぜん余裕なかった。疲れてたりすると特に朝とかしょんべんがやたら近く、さっき行ったばかりなのにさらに尿意があったりして、それはもう学生の頃からで、だいじょぶなときにはだいじょぶなんだけど、来る時にはキテしまう。今朝はそれ。でもって飯田橋から中央線、新宿着。時間をむだにした。けどイヴェントと思えばこれもたのしい。過ぎたことはすべて甘酸っぱい。甘じょっぱいってことはない。甘酸っぱすぎてたえきれないほどのこともときにはあるが。それでもってバルト9へ。チケトを買う。回は10:10からで、まだ一時間ほどはある。予定通り、2丁目のドトールへ。ドトールで朝飯にしたかったのだ。レッドなんとかドッグ(これが食べるのに苦労するそれで、端からこぼれまくり、けど美味)にロイヤルミルクティーM、ホット。

(↑食った残骸)

(窓の外は強い風。葉っぱがいっぱい飛んでた)
再び映画館へ。
めずらしく、というかおれには昨今初めて、例のカメラ男も出て来ず、映画館マナーのそれもないまま映画が予告篇をいくつかだけでスタート。(バルト9はそういう仕組みなん?朝イチとかだと?)
母なる証明」、音楽がよかった。すごくよかったと思う。(「〜と思う」ってなんだ。けどそういうフレーズで云いたかったのだからしょうがない。特に意味があるわけでもない。ことばを唇にのせるに際し、キモチのよいのをその都度採用の方針で放心Day.)
最初の踊りんところ、なんだか草野原で母親が来てた紫のジャケット、下は青いワンピース?、それが、そのコーディネートが、髪型・メイクも含め、すっごいおしゃれ、シャレてた。センスよい。
男女共にルックスのパッとしない人ばかりが出てくる。それは狙いだと思うが、映画というのはそういうルックスがまた味になったりもするし、まあそういうのを狙ってもいるのかしらとも思う。たしかに見ててある種の気持ちよさがあったんだよなあ。ただ例外的に母親のキム・ヘジャだけがルックスが際立っている。目とかきれいだし、上記したように踊りのシーンの彼女なんかファッションもキマリ美しいという見え方で。だからナニという結論はだせないが、ああなんかそうだなあ、って思ったの。見てて。まあ主演女優を美しく撮るのは当然ではあるんだけど、きれいとかそうじゃないとかなんとか以前に出てくる人はみな平凡というか冴えないルックスだったのが印象的で。しかもぜったいわざとだし。
で、単純に感想としてはノレなかったなあ。見てて飽きないんだけど、でも気持ちが入ってかなかった。最後とかスッゴイ上手いんだけど、「ああ上手いなー」ってどっか客観的な気持ちになりがちで。それはまあ全体的にそうだった。笑えるところも笑えるし、上手いんだけど、でもどっか手慣れてるというか、小手先でちょちょいとこれぐらいできちゃいそうなのをやってるだけみたいで。ポン・ジュノなら、そんぐらいは。なんか全体的に頭で考えました、みたいなニュアンスを感じてしまって。巧妙だけど、でもそれはどこか上手いだけで、器用な手つきがどこか見えてしまうかのようで。
ほえる犬は噛まない」でも「殺人の追憶」でも、ヘタすれば通俗に堕してしまいそうなやりかたをポン・ジュノはいつもしているんだけど、でもそれを上まわるものがどこかあったのが、なんだか今回は作者の思惑の中に映画が収まってしまってるように観えちゃって。
通俗に堕す、ってのはこの場合、「殺人の追憶」ならば事件を追うかに見せて、韓国の現代史を描いていたり、「ほえる犬」なら、奇妙な事件と奇妙な人物たちを通して現在の社会批判といったことをしていて、そういういわばクサイことを、あざといばかりのことを、いつもポン・ジュノはしてるにも関わらず、映画の魅力があって、グイグイ来てて、チャチくならず、通俗に堕さず、そこいらへんがポン・ジュノ、カッコイーみたいなとこがあった。おれには。スゲーなーって。超えてるよ、社会批評的なんを。納まってないよって、そこに。そして永遠を指し示してくれてるじゃん、うでしー、みたく。
でもなんか今回は器用な手の内に納まっちゃってる気がしちゃってさー。どこが、ってよりもまずは感覚としてもうひとつ「ノレない」ってのがまず来て、それにリクツをつけると、ざっくり以上のような。
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