ゼロの焦点

LEON RUSSELL - A Song for You (1971)
ゼロの焦点」観て来たょ。月曜朝イチだったけど、席は結構埋まってた。7割〜8割(?)な感じ。そんで年齢層はおれが若手くらいで当然(?)高かった。

ゼロの焦点 カッパ・ノベルス創刊50周年特別版

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はじめ西島秀俊の髪型が当時としては長髪じゃね?つかなんか今風っぽくない?とか、スーツがなんか当時のっぽくないよなーとか、当時のことロクに知りもしないのに、なんか気になっちゃったり、駅の雑踏を歩く人たちが、つまりはエキストラがなんだかとってつけたような気がしたり。当時のカッコを無理やりしてるかに見えちゃって。なんつーか七五三的な意味合いで。
で、あとこの手の時代を遡った映画見るといつも気にしてしまう髪の色、ちゃんと黒かった。みんな。
中谷美紀が少女にしか見えない。線が細いの。華奢で。ああいうなんていうかマダムっぽいのにはちょっと恰幅が足りないっていうか。でもよかったけどね。彼女。キズだらけの姿もわるくなかった。
なんかこの映画に関しては断片的にしか書けないなぁ。べつに傑作じゃないし、ぜんぜん。ムラがあって緊密性に欠けてる。それでときどき好きなシーンとかもあったりする。全体としては好き。
ヒロスエのナレーションが多いんだけど、声がわるいからなー、彼女。それがやっぱりちょっと気になっちゃったけど、気にしなければそれで済むし、大体ヒロスエは好きだ。木村多江はもっと好き。
ゼロの焦点 [DVD]

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ときどき時代の再現がこれみよがしで、ちょっとつらいところとかあるが。それでそういうの見てても思ったんだけど、単にその時代(昭和33年くらい)を再現しようとしてるってよりも、むしろその当時の映画、それこそは野村芳太郎の「ゼロの焦点」とか、あるいはいっそ小津映画でもなんでもいいゃ、そういう往時の日本映画で見たようなシーンを再現してるかに思えたりしたんだ。映画的記憶に基づく再現というか。昭和33年ではなくて、昭和33年当時の映画の中の風俗、雰囲気みたいのを。
特にそれを強く感じたのが、選挙事務所で女性たちが声を合わせてきれいな声で歌うところ。あれってすっごい昔の映画だよなー、ああいうのあるなーってすっごく思ったんだった。たぶんねらってやってて、でもそれがとてもいい感じだった。好きなシーン。
ゼロの焦点」はおれ、カッパノベルスのそれで読んだなあ。家にあったんだと思う。親の。たぶん初めて読んだ松本清張。小学校5年とかそんぐらいだったと思う。それからは新潮文庫松本清張、ずいぶん読んだと思う。大好きだった。わくわくした。
木村多江とヒロスエは2人とも一重(ひとえ)瞼でそれがよかった。アップになるとつくづく一重(ひとえ)なんだなあってのが迫って来て。まー好みなんだよ。そーゆーのが。
木村多江が3人の女優さん中じゃいちばん演技が上手いっていうかね。けど3人3様でそれがいいわけでさ。ヒロスエの大根ぽい分、おぼこい感じが出ていたりとか、中谷美紀がちょいと大仰でそれが役柄にふさわしかったりとかね。つまりはいい演技だったってことだ。
ところどころ血が流れるようなシーンが仰々しく撮られてたりして、そういうのたぶんわざと俗悪な感じにしてるんだと思うけど、なんかそんなんもわるくなかった。
鹿賀丈史!よかった。すごくよかった。安心感のある迫力。
たとえば本田博太郎の演技とかなんだかとってつけたようで見てて落ち着かなかったんだけど、はじめのうちそれでちょっと映画に入りづらくって、ヒロスエのナレーションもなんかあれだったし、けど、一個目の殺人が起きてどこか民家で現場検証してるときに出て来た地元の警官の役の人、その人がなんか演技上手くって、そこでグッと入り込めて、そっからノレて来たりしたのでした。

劇中、プラターズの「オンリー・ユー」が使われてるんだけど、なんかもひとつピンと来なかったなあ。最後の方でこの曲が掛るところで上手くおれの気持ちが盛り上がってくれなくてさー。なんかちょっとズレてたんだな。気持ちと。おれの。それが残念。おれ的には。映画とか見る以上は積極的にノって泣けるとこでは泣くようにしてるので、たまにそれが上手くいかないと若干もどかしくなってしまう。
ヒロスエが滞在費とかどうしてんのか気になったな。そういえば。脚本の抜けとかって意味じゃなくてごく単純に。
あー音楽が上野耕路だった。オーケストーレーション、よかった。


米倉涼子の「黒革の手帖」とかでもそうだったけど、21世紀、松本清張がまさか女性の自立とかそういう方向で映画やドラマになったりするなんて、そうしてこうして作品が更新されていくんだから、やっぱ松本清張ってすごいんだと思う。
黒革の手帖 DVD-BOX

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松本清張って、でも「国民作家」だよなーってそういえば先日思いついたりした。海外での認知はなく、しかし国内では圧倒的なタイプという。