國家は私達から、乙女の夢まで、取上げてしまふのでせうか。

ゴダール


気狂いピエロ 【ベスト・ライブラリー 1500円:第4弾】 [DVD]

気狂いピエロ 【ベスト・ライブラリー 1500円:第4弾】 [DVD]


ゆうべ「気狂いピエロ」、ひさびさに観た。何度目だろう?ナウシカ。いままで通して観たのは数回にはなってると思うし、断片的にだったらなんだかもっといっぱい観ている。
初めて観たのは大学生のときで、その頃に何度か観てるけれども、一番印象的なのは有楽町、最終回で観たとき。最終回だから客もなお少なく、(シネスコだから)でかい画面独り占めしてる気分で、あれはよかった。あの感じは。画面がそれまでにまして鮮明な気もしたりした。
その後に観て印象的だったのはずいぶんと前、フジテレビで深夜「ミッドナイトアートシアター」でやったとき。その番組は途中CMナシ、通しでやる仕様で、ふつうに民放でそういうのってめずらしいわけで、それはさておき、いつもならはじめに解説が必ずつく番組だったんだけど、「気狂いピエロ」のときはそれがなく、さらに日本語で出る映画のタイトルもなし、いきなり本編が始まった。なぜかってあれだ、タイトルがいきなり放送禁止、解説者がタイトル云わずに内容紹介するわけにもいかないし、「気狂いピエロ」って日本語タイトルバーンと出すってわけにもいかないんで、苦肉の策ってやつだったんだろう。但しセリフの中で一度だけアンナ・カリーナの口から「気狂いピエロ」とは出てくるが、それだけはかろうじて。まあそんくらいは見逃してもらえるとの腹づもり。
で、今回観て思いついたあれこれ。
赤が思ったよりも使われてる。あっちこっち赤く塗ってあるし青く塗ってあるし、ときどき黄色い。あと白。わかっちゃいたけど思った以上に塗ってあんなあ。あっちこち。
映画館の席なんかことごとく真っ赤に塗ってあってたいへんそう、とか思ったりした。塗るのが。塗料、なに使ってんだろう?みたいな。とかね。ペンキくせーんじゃねーのか?そーいえば。いま思いついたが。
ジャン・ピエール・レオーとジーン・セバーグカメオ出演してるじゃないか。初めて気づいた。前観て気がついてたかも知らんが、今回あらためて。忘れてるか忘れちゃったか。
アンナ・カリーナが青いパンツ履いてる。こちらは断然忘れてる。忘れてた。青いパンツなんか履いてたんだなあ。
最後の展開、まったく憶えていない。爆弾頭に巻きつけるの以外は。アンナ・カリーナとか最後どうしたのか、とか。憶えてなさすぎだ。おれ。何度も観てんのに。
このDVDについちゃ以前も書いたが字幕がヒドイ。まったくひどい。これから観るヤングたちに申し訳ないレベル。あやまっとくよ。おれが代わりに。メンゴ。
そんで「響きと怒り」や「地獄の季節」がまったく活かされていない。あとネオン管などのサインが訳されてない。重要なのに。ランボーもフォークナーも無視かよ。字幕、山田宏一訳がいーなー(涙と希望)。
響きと怒り (上) (岩波文庫)

響きと怒り (上) (岩波文庫)


響きと怒り (下) (岩波文庫)

響きと怒り (下) (岩波文庫)


ランボー詩集 (新潮文庫)

ランボー詩集 (新潮文庫)


月夜があまりに明るいのはなぜ?漠然と夜だって思い込んでいた。アメリカの夜的な撮影でそうなのかしら?それとも昼間に月を見上げてるの?画質向上で明るくなりすぎちゃったの?以前観たときはなんだかもっと暗い、ちゃんと夜な気がしてたから。でもまあたぶん画質がそれほどじゃなかったのと、月についてのロマンチックな会話をするんで、夜だとの思い込みも半分。
冒頭に近いあたりのパリの夜景が画質の向上でやたらと明るい。くっきりはっきり見えている。それがフシギ。昔はなんかもっと暗かったんだと思う。ぼんやりしてて。
ベルモンドにかみさんがいる設定とか、まったくおれの頭には入っていなかった。いや、他にも筋の展開、キャラ等々、まったくわかってない、憶えていない。
(動いてもいない)(たぶんスタジオ内での)クルマの中に2人、人工的で周期的なライトの明滅の中での会話、大好き。でもあれはみんな好き。マネしたくなるし、黒沢清とかマネしてるし。
すべてのシーンがとにかく好き。
アンナ・カリーナが動くクルマの上、ヨットの上なんかで幾度も立ち上がっている。森の中で衣服を捨てるとこでなんか一度、ゆっくりとではあるけど動いてるクルマから飛び降りて服を捨て、そしてまた動いてるクルマに乗り込んだりなんかしている。ガソリンスタンドでクルマ盗むときも、台の上に載ったクルマが高く上がったそのクルマの上で彼女は立ち上がってみたりしている。
ベルモンドはまんまルパン三世だし、A.カリーナはまんま峰不二子
ワルサーP38が出てきた。

アンナ・カリーナの役名が「マリアンヌ」だって、今日また憶えた。ベルモンドの「フェルディナン」は憶えてるけど、彼女のはまったく覚えてなかったのを再確認。