國家は私達から、乙女の夢まで、取上げてしまふのでせうか。

息もできない

9時過ぎに家を出て所沢までクルマで。そっから電車ん乗って吉祥寺着いたんは午前11時過ぎだと思う。バウスシアターへ一路。
でもってアリスで人が並んでるんでその後ろにくっついてたら、「息もできないの方はこちらへどうぞ」と促され、おれ他2人ほどが移動。したら、おれってば、午後の回の整理券もらうつもりが、その時間に始まるテケツだった。1000円。安いじゃん。勢いでそのまま入場。すぐに始まる時間で、そんなつもりじゃなかったから、メシ食ってからとか思ってたし、ノドかわいてるししょんべんしたいし、けど幸いまだちょいと時間はあり、さらに席も案外あり、しょんべんとかどうしよう?と思ってたら劇場ん中、おれの取った席のすぐ横に便所があり、トイレへ。しょんべん済まし、さらにそこの水道で手を洗うついでに水も飲んじゃい、あら終了、こりゃまた便利、なんとかなった、で、席着くとしばらくしてはじまりはじまり。
「息もできない」にしても「母なる証明」にしても、その家族の描き方がすごく図式的で頭で考えたそれみたいで、実感に乏しくて。家族関係の「仕掛け」を上手に考えてあって、でもそれだけ。どっかウスッペライの。
テーマありき、みたいな。
ありきたりでもなんでも「滲み出てくる」もんがあれば、ってか、それがあることがきっとおれには重要で。だからおれには「アバター」や「泥だらけの純情」の方がなんかずっとグッと来る。

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ヘタに泥臭さや、リアリズムみたいな、ドキュメンタリータッチだったり、部屋の汚れや衣服の汚れがよくできてたりすると、それ自体がすごく「キレイ」な感じがしてしまうの。監督の冷静でインテリな匂いをかえって感じちゃう。CMとかって、すっごくよくできてたりするのあるけど、あーゆーのとおんなじ「よくできたさ」を感じしてしまうの。「ハートロッカー」にしても「第9地区」にしても「母なる証明」にしても「息もできない」にしても。「キレイ」なの、撮り方が。卒がないっていうか。上手いのがわるいってことじゃなくて。でも。どっかおさまりがよくて。
行儀がいいっていうか。
「息もできない」はそんなわるくもなかったんだけど。ただなんてゆーか、フツーって感想になりがちで。
評判高い作品観ると、なんだかいまいち、あるいはフツーってことになりがち、というか毎回そうなんだけど、「息もできない」もそんなだったの。わるかないけど、フツー。あとちょっと、長い。
日本の70年代青春映画みたいの期待してたら、なんだかその通りで、でもいざそうだと、こういうのいっぱい観たことあるような気がしてきたり。
主人公の彼の生業(なりわい)、借金の取り立てというと、かつてはそんなで、その後介護の仕事をしてる人を見たことがあるのを思い出すのです。
谷村美月っぽい、ヨニ役のあの子はよかったです。
侯孝賢も褒めてるみたいだけど、だったらたとえば侯孝賢の「風櫃(フンクイ)の少年」の方がおれにはグッと来たぜ。
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