國家は私達から、乙女の夢まで、取上げてしまふのでせうか。

トイストーリー3

Gary Wright - Dream Weaver
「トイストーリー3」ん中でコレ↑が使われてて、75〜77年あたりのヒット曲はおれにはどこか特別に響くものがあるので、なんだかとてもグッと来たのだった。
「1」「2」を復習することなく観に行ったんだけど、「復習してから」って枷はめちゃうといつまでも観れないワナにハマってしまいそうだったんで、勢いつけて観たのだった。
それで、
スゲーよかったょ!
これ観てて途中から思うようんなったんだけど、いつかカート・ヴォネガットの「スラップスティック」が映画化される時が来たらばピクサーでやればいいんじゃね?って。すげーいいアイディアだと思う。われながら。ってか観たい、是非観たい。ピクサーアニメで「スラップスティック」。まったくピッタシだよね、きっと。うん。
「スラップスティック」の最後、メロディーちゃんが遥かニューヨークはマンハッタン島にいる伝説の燭台王のおじいちゃんに会うためにアメリカ大陸を東へ東へと、いろんな人に親切にしてもらってたどり着く、そのほんの1ページくらいでアメリカの歴史を引っくり返してしまうそれをこの「トイストーリー3」のスタッフで観せられたら、ああもうだめだ、主題歌はしかもランディー・ニューマンだなんて、ヴォネガットと合いすぎじゃないか。少しは外せよってくらいに。



おなし話ばかりのおれで、またこれであれだが、ともかくも「1」が公開されたばかりの頃、「ショウビズTODAY」にランディー・ニューマンが出てて映画の音楽担当、さらに主題歌を歌うのが彼だから、したら彼氏、「これはこども向けのものだし、おれも仕事でやってるだけだよ」みたいなこと言ってて、けどR・ニューマンは本気で「You've Got A Friend In Me」を歌ってる。そうじゃなきゃ心に響いたりなんかしない。本気じゃなきゃ歌詞を書けるような人じゃない。"気に入らない国にはでかいの一発お見舞いしてやるか"かだなんてそんなこと歌う人だからこそほんとうのほんとうは友情や思いが叶うんだって信じてる。いつかこの馬鹿げたことが終わり、思いが届くんだって。

「トイストーリー3」はもうビックリするくらい、完璧ってのはこのことかってくらいにシナリオがよくできてる。冒頭の夢のシーンは最後にもっとおそろしいカタチで現れて、けれど夢と同じように救われる。ハナウタ歌ってゴミの回収してる落ち着きのない兄ちゃんが最後にはちゃんと役割を果たしてくれる。それ以外にもこの映画にはいわゆる伏線の回収ってやつが、まったく見事に揃っている。で、フシギだったのは観てて、そのシナリオのカンペキな出来具合、それ自体に胸がキュンとしたんだ。ただ上手いなーって感嘆てんじゃなくて。けどそれはきっとシナリオの調和、人物やできごとがストーリーの中で見事に呼応する様、それ自体が映画のテーマの反映でもあるからなんだと思う。
そう、映画の中で描かれる友情や思い、そのコール&レスポンス、ハーモニー、それとストーリーの構成自体の持つコール&レスポンス、ハーモニーがピッタシ一致してるんだ。ビックリしちゃう。
映画館で困るのは思いっきり泣けないことだなー。涙がアゴまで伝って来ちゃったょ。