國家は私達から、乙女の夢まで、取上げてしまふのでせうか。

映像の世紀

こういうの見てると昔ならモノクロの映像に趣を感じたもんだけど、昨今はなんか色付けて欲しくなる。
カラーにして欲しい。
音は付けてあるけどな。群衆の喚声やらなにやら。
そういやこの手のフィルムって何年何月のどこそこのこれこれこういう様子だってことで
紹介を受けると鵜呑みにしちまうが、実際は違う場合もあろう。
ほいで又、昔は特に撮影機材がでかく、照明装置も不便で、
なおかつ大量のライトを必要とするもんの場合は、映画みたいなもんだったり、
場合によっちゃ映画だったもんが、いつの間にやら報道映像だと勘違い、なんてことだってあったり。
(教訓とかそういうつもりで書いてるんじゃなく、
実際の具体的なことが気になる、興味を惹かれるってこと。)
あと、髪、固めるのにどんな油を当時使ってたのやら、摩天楼作るのにどんな技術、
鉄骨の製作方法から、ビスの出来具合、ノド乾いたらどんなもん、どうやって飲んでたのか、
あんな高いとこで、とか、ともかくそういう現場での細かいあれこれってのも大いに気になるところだが、
そういうのんはこの手のフィルム見ても、当然のことながら欠けていることで、
しかし、やはりそういうことを考えると興奮する。
というか、たまにTVをカチャカチャ回しながら(そんな様子は今はないが、慣例的な言い回しで)
どのチャンネルのどの番組見てもおもしろくてしょうがないことがある。
それは別に番組の内容や出来不出来でなく、そこに出て来る人、モノ、撮影しているだろう人の昼飯・服装、編集している時のそれをやってる人の靴、メガネ、女房持ちか独身か、今朝起きた時に気にしてたこと、どこかの田舎の風景ならばそこに映っている向こうの方の一本の木、背景の山や空、雲、鳥なんかとの兼合い、面白み、その時間におれが一体どこでなにをしていたか、コマーシャルを同じ時間に見ている日本中の人たちが今どこで何を感じ、仕事中か、失恋してるのか、性欲で悶々としてるか、支持政党はどこで、親戚づきあいはどんな風で、右奥歯の虫歯の治療の程度、歯医者では何分待って、受付のねえちゃんは可愛かったのや否や、好きな音楽、最近カラオケで歌った歌、履いてるユニクロのパンツを縫製している中国の工場の、正にそのパンツを縫っている瞬間、縫製している人の生活、人生、工場までの道で靴に付いたドロ、靴跡、等々等々が総て気になり、その総てのつながりがダイナミックに感じられ、ワクワクしちゃう。