國家は私達から、乙女の夢まで、取上げてしまふのでせうか。

映像の世紀

人類が一体何年くらい人間やってるのか知らないが、
人権だの福祉だの反戦だの差別解消だの平等だのなんだのだなんて、
人類史からしたらほんのちょびっと前から言われ始めたに過ぎない。
例え建前なりとそういう論調が一般に通るようになったのは。
ほんの少し前まで、この「映像の世紀」で見られるような時代、
つまりは電気が発見・使用され、食い物が増産され、
貨幣制度が急激に発達し、文明の利器が絶大な伸びを見せ、
世界が、可能性としてはみな飢えずに済むであろう、
安楽な暮らしを出来るであろうという時期になってようやく、
人権てか、人間ひとりひとりの尊厳てやつを考慮してやってもいいんじゃないか、
と、ほんの建前で思うようになり、それがマスコミの発達と教育の普及と共に流行、
なんとなしそういうもんだとみなが思うようになった、と。
豊かさが人間すべての平等を予感させ、しかも相変らずにも予感だけ。
だってそれまでが如何に長かったか、人類史に人権のトッピング。ごま塩のゴマ一粒にも満たないくらい。