國家は私達から、乙女の夢まで、取上げてしまふのでせうか。

杉葉子

昼間、増村保造「妻は告白する」成瀬巳喜男「夫婦」を観る。
「妻は〜」は図らずも先日観た「世界大戦争」と同年の昭和36年の、しかも両作共に芸術祭参加作品。
(「芸術祭」ってしかし、どこでいつの間にやってるんだろう。しょっちゅう見かけるけど。)
「妻は〜」には青酸カリが出て来るが、昔は自殺・心中の定番だったな。青酸カリ。最近聞かない。流行らないね。
「夫婦」は題名から心温まる話かと思ったら、これまた冷え冷え。どうして?!なぜなの、ナルセ?!
一応明るい未来を示すような方向に最後、持っていってるんだけど、
この夫婦がこの先上手く行くとはとても思えないのでした。
上原謙が「立ってるんだか、転んでるんだか、どっちだかわからない」ような
ハッキリしない男をやってるんだけど、これがもう適役。いいなあ、上原謙
この手の男をやらせたら右に出る者がいないね。
また、三國連太郎がちょっと阿部寛に似てて、演技はダイコンなんだけど、好感が持てる役。
杉葉子はどこか原田知世に似てて、ちょっとしゃくれてるんだけど、可憐。かわいい。
こんなカワイイかみさんいるのに、旦那の上原謙はあんな調子で、まったく可哀想だ。
杉葉子といえば「青い山脈」で水着姿になりスタイルのよさと乳首のポッチリを見せていたのがおれとしては印象的。)
話は年末で、昭和28年の作品だけど、クリスマスなんかやってる。
やっぱり米軍進駐以後、つまりは戦後から早々にクリスマスってやるようになったんでしょうか。
当時は冷蔵庫なんかないのはもちろん、冬には火鉢だけだ。なんとも寒そう。
この手の邦画見るといつもそう思うが、昔の東京行きてぇ。しばらく住みてぇ。銀座歩きてぇ。