國家は私達から、乙女の夢まで、取上げてしまふのでせうか。

映画鑑賞

「ペイルライダー」「母の曲」(おれの観たのには特に「前編」とかそういうのは入ってなかったが)、
「妻の心」「若き勇者たち」「目撃」、あとTVでやってたので「Jam Films」、以上。
感想。
クリント・イーストウッド、つづけて観てるとどこか一定の調子があって、惹かれる。
目が覚めるようにおもしろい、ってんじゃないんだけど、観ててなんか気になる。
「荒野のストレンジャー」もそれにつられて2回観てしまった。
「ペイルライダー」にしろ、何度も観たくなるなにかがある。それがなんだかわかんないんだけど。
「目撃」にはジュディー・デイヴィスが出てるが、そのエロい熟女っぷりが毎度ながらに好き。
ずっと昔、デヴィッド・リーン「インドへの道」を観て彼女に魅せられたことがおれには印象深い。
「若き勇者たち」は作戦名に使われた云々て話を聞いて、気になり、もやもやしてたので観た。
いろいろ撮ってはみたけど、どうにもならなくて、編集で無理矢理繋ぎました、
みたいな映画で破綻してる上に魅力もない、唯一の取り得といったらまだまだヤングなスターが出てるとこくらい。
観るだにまったくの時間の無駄、人生損してるような感じがしたよ。観てる最中。
でもがんばって最後まで観たぜよ。男らしい。
チャーリー・シーンが目立たない役で出てる。この後は大活躍。
その後はスキャンダルといっしょに沈みっぱなし。人生は儚(はかな)い。
「母の曲」は原作が吉屋信子の母モノ。貧乏人は貧乏人らしくしてろ、
女工にはそれに相応しい下層の生活がお似合いさ、というまことに鋭いメッセージの映画で
これがもし前編だとしたら後編でもう少し救われるんでしょうか。あの女工上がりのおかあさまは。
そしてお蝶夫人には原節子こそが似つかわしい、
「よくってよ、ひろみ」なんてセリフを吐いて違和感ないのは彼女しかいない、
そんな思いを強くしたので御座いました。
ちなみに黒澤明「白痴」で黒いマントを身に纏った原節子はまったくにノーブルなSMの女王様のようでありました。
「妻の心」、またカネ絡みで地味な話でしたが、
これは脚本家の井手俊郎の得意とするところなんでしょうか。もしかして。
一方、松山善三はもっとメロドラマめいたものを書く人のようでもあります。
「乱れる」など観ている限りは。