國家は私達から、乙女の夢まで、取上げてしまふのでせうか。

シルヴィア・プラス

「ベル・ジャー」、半分ほど読んでしまった。我ながら意外だ。しかしこの先も読み続けるかどうかは神のみぞ知る。
♪ I may not always love you
出来れば引用して引用して引用したい。
この本を気に入った僕はそうして引用をし続け、しまいにはその断片が積重なり、
全てを集めて並べ替えると「ベル・ジャー」が結局一冊再現されてしまうのだ。
「ベル・ジャー」にある描写やレトリック、表現されている感情の数々が僕に訴えて来て、
それらを反芻せずには要られず、それらは僕の皮膚にピタリと寄添い、
気がつくと心地よく僕はその小説を生きているのだった。
(但し軽い、しかし深刻な痛みを伴って。)
その表現は常に軽いユーモアを身に纏い、レトリックは常に過剰にはならず、
それでいて読み流すには余りに豊饒なものを僕に齎してくれるのだった。
シルヴィア・プラスの表現を盗む?
それはありそうで実は出来ない相談だ。
第一もし引用するとしてもそれだけでも困難なんだもの。
そんなものどうやって盗む?
この本の頁から彼女の表現を引き剥がすなんて出来やしない。
無理にやろうとしても手の平と床の上にバラバラに引き千切れた紙クズが散らばり落ちているのに気がつくだけ。
年若い人には暗誦するまで読むのをお薦めする。
19歳で自分の将来に惑う女の子の物語だ。
(ただ、就職活動中の若人には忌避をお願いすることになる。
「ベル・ジャー」を読むと余計な事ばかり考えてしまい、リクルートスーツにはいつも皺がよってしまい、
靴擦れがヒドクなるばかりという結果を催すだろうからだ。)
(今度はちゃんと引用してみたいなあ。けどむずかしい。
あっちもこっちも引用したいとこだらけなんだもん。)
(映画化されるに際して主人公はグウィネス・パルトロウってのは、トウが立ちすぎてないか?
もっとヤングでナウいスター〔或いはスター未満〕女優が幾らでもいるだろうに。)
(ああでもあれか、映画はタイトルが"Sylvia"ってくらいであって、別に「ベル・ジャー」の
映画化ってわけでもないのか。それでもやっぱりグウィネスじゃない方がよかったなあ。
それにおれは「ベル・ジャー」が映画になったのが観たかったなあ。ひたすらにガーリッシュなのが。)
※ 「ベル・ジャー」、「自殺志願」という題で以前出ていたのを知る。
《 今度出たシルヴィア・プラスの『ベル・ジャー』は、原題そのままで分かりにくいけれど
『ブック・イン・ピンク』でも紹介した『自殺志願』なので
 》
(2004/06/23)〔id:saltwatertaffy
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