國家は私達から、乙女の夢まで、取上げてしまふのでせうか。

子猫をお願いPt.4

二十歳の時、おれはまったくにともだちもおらず、日常会話の相手もぜんぜんなく、
女の気配なんか当然あるもんじゃないし、性欲の持って行き場もなく、オナニーする時に思い浮かべる相手さえなく、
オナペット不在、カネもなく、行き先不明で毎日震えていた。
その時のおれにはその状態しかありえなかった。今から思えば、実はなんでもなく、なんとでもなるのは充分に判るが、
その時、おれに選択の余地なんか、息をつぐ暇(いとま)なんか、全くなかった。