國家は私達から、乙女の夢まで、取上げてしまふのでせうか。

銀座

ココ(2004/10/02)〔id:Etsuko〕にある資生堂の《 ギンザ・フォト・ストリート 1930s/2004 》という企画、
銀座の街角写真というと、うちの母親がごく子供の頃、たぶん戦時中か、それより少し前くらいか、
おれの祖母にあたる人(おれの母親が高校生の頃、既に亡くなっているので会ったことはないが)
と連れ立って銀座を歩いているところを撮った写真があり、うちの母親はそれを大事にしている。
長野県は浅間山の麓あたりに当時住まうその母子がなにしに東京に出て来たのかはわからないが
ともかくもそうした2人が銀ブラをしていると、勝手に写真を撮られたと思しく、つまりは観光客相手、
田舎モン相手のそういう商売、撮った写真を売りつけられたってところ、
当然ポラロイドなんかまだない、現像までには時間が掛かる、住所を聞かれ、カネを払った筈、
よかったインチキじゃなくて、ちゃんと写真が届いた次第、それが今に残る、と。
その写真に映る2人はまったくによそを向いていて、まったくにカメラ目線じゃあない。
だって知らぬ間に撮られてるんですもん、あたりまえ、けど後になってみれば、
そうして偶然のショットが今に残るはむしろ貴重、街並みは大して映っちゃいないけど、
母子が並んで歩いてる、銀座を歩いてる、その写真、いまでも我が家に飾ってあるのです。