國家は私達から、乙女の夢まで、取上げてしまふのでせうか。

松本清張

「風の視線」を観る。
これ、ボク(今日はこれで行くよ)が生まれた年(1963年)の映画なんだけど、結論から言うとつまんなかったなあ。
演出がないっつうのか、単にシナリオをなぞってるだけってゆーか。
上手いこと言えないけど、普段でも人と話してて、ただダラダラと延々しゃべってるような人っているでしょ?
たぶん、あんな感じとでもいえばいいのかしら。
ハイライトのない喋り方をする人。
単に説明してりゃあいいってもんじゃなくて、こう、話にはキモってもんが必要なんだわさ。
それのありやなしや、ネ。単調なの。観てて気が逸れちゃうの。ついつい。
単なるシナリオの説明だから、アップとか多くなるし、ズームとかしちゃう。
たぶん、おんなし話でも撮る人によってはきっともっとおもしろくもなる筈。
よく映画の感想であるのが、ストーリーがありきたりだとかつまんないだとか、ってのがあるけど、
映画ってさ、あらすじじゃあねえだろ。ストーリーの問題じゃないじゃん。
おもしろいか、おもしろくないかって。
なのにみんなあらすじのことばっかり。
あらすじだけだったら、そもそも映画なんか観る必要ないじゃん。
該当HP行って、あらすじ読んでくりゃ済むもん。いまどき。なら。
そんなのつまんないわ。もーいいの、ストーリーなんかどーでも。
大体例えば川島雄三の「花影」だって、話だけ取ったなら、どーでもいーよーな話だゼ。
けどあれはスゲエいい映画だ。
映画ってのはそういうもんじゃねーのか。ストーリーが全てじゃなかろうがよ。
もっともっといわく言い難い「なにか」だよ。映画ってのは。
映画に限らねえか、芸術、芸能全般、さ。
と、以上くだくだしいことは済んだところで、「風の視線」に戻るが、これ、松本清張御大が
キャメオ出演してますよ。それだけは見物。ちゃんとセリフもあります。しかも始めの始めと後半、
2回も出て来ちゃいます。清張ファンは必見ですネ。
Google「風の視線」と引いたら、《 もしかして:風の目線 》だなんてキャプションが!
 《 もしかして 》なんてあったんだ。今回初めて。これに遭遇したの。)
で、この映画、音楽がよかったです。
なんか電子音(テルミン?)とかするの。エレキギターもその電子音的な効果音として使用されている。
ウルトラQ」みたい(?)ってゆーのか、なんてゆーのか。
(音楽担当の木下忠司って、木下恵介の弟なんだ。※コチラ参照のこと。注意:音が出ます!)
全体にキャストは豪華なのに、主役の男の人が地味で冴えないルックスで、なんかバランスがわるかったです。
松本清張ドラマとしてはめずらしく、殺人もなく、自殺死体は始めの方に出てくるけれど、
特に登場人物の誰かと関係があるわけでもなく、メロドラマでした。
そんでそれに応じて、ラヴシーンも多いんだけど、この頃から岩下志麻ってちょびっとエロがかった
風な事やり始めてるのね。時代の変わり目ってこともあるのかなあ。
新珠三千代佐田啓二と寝間でキスしたりしながら会話するのかともあったし。