國家は私達から、乙女の夢まで、取上げてしまふのでせうか。

映画鑑賞

「ルパン三世 念力珍作戦」を公開以来30年ぶりに観る。
若い諸君に念の為言っておくと、当時は"ユリ・ゲラー"ブーム真っ只中で、念力流行りだったのだよ。
よって「念力珍作戦」、と。(それについてはDVD所収の坪内孝監督インタヴューでも触れられている。)
当時はこのおれでもスプーンくらいは曲げられたものだ。あんまりそうしてみんなしてスプーンを
曲げるものだから、当時学校給食に標準的に使われていた金属製の「先割れスプーン」が一時的に廃止され、
プラスチックのそれに変えられたりしたものだった。
それが今じゃ誰も超能力を使える小学生などいなくなり、マジックなどというインチキで
やるような連中、しかも大人ばかり、になってしまった。嘆かわしい。
しかしこれ、企画が「赤塚不二夫・中山千夏」となっている。一体どういう風に関わったのかしら。
単に名義貸しとか、そういうのかも知んないし、その辺の経緯が知りたい。
当時は(今ではある意味常識じゃあるが)「ノストラダムスの大予言」との併映で、こちらの
ルパン三世」の方が添え物のような気がしていたので、もう少し安い作りかと思っていたが、
今回こうしてあらためて観てみると存外にお金が掛かっている。低予算映画、って赴きではない。
それがちょっと意外だった。ま、監督はクレイジー映画をずっとやっていた人で、東宝でも
それなりの地位を築いていた人じゃあるので、それなりに信頼も実績もあったので、
それに見合った作品、てことなんだろう。
殆どなんにも憶えてなかったけど、かろうじて「♂」「♀」マークで絡み合うベッドシーンを漠然と
憶えていたのを観ながら思い出した。観てるときは小学5年生ですからね、そういうのに敏感もいいとこ。
大体例えば「SEX」なんて文字を見た日にはもうそれだけでうぎゃうぎゃ大騒ぎしてるような年頃ですもの。
ひさしぶりに観て、そんな緊密なもんでもないし、名作とかいうんでもないけど、でも思ってたよりは
しょぼくもないし、結構観てて楽しいし、役者もそれぞれの役にはまってるし、よかったです。
音楽もよかったな。(あ。佐藤勝か。)
割りに最初の方でE.H.エリックが出て来て(この時点で相当嬉しい)、オルガンで奏でられる
「母に捧げるバラード」がギャグに使われてたりして、これまた懐かしくて、楽しかった。
「犬神家の一族」を観る。
これって当時はやたらと流行ってたし、コントかでもよくネタにされてたし、CMもよく見たし、
TVでも何度も放映されてるし、TVドラマ版もあったし、そうして断片はさんざ観てるけど、
通して観るの、今回が全くの初めてだ。そうか、こういう話だったのか。ふうむ。しかし金田一耕助、
なんの役にも立ってないのな。みんな死んじゃってるじゃん。最後に事件の解説するだけ。
遅いんだよ。遅すぎるよ。なんにも解決してないじゃんかよ。
大野雄二の音楽がだらだらと付けっぱなしで、しかも曲というか、演奏そのものがださかったです。
国際女優・島田陽子がヒロインだけど、当時彼女、がぜん売れてたよなあ。確かに。売れっ子でした。
で、同じ頃だと思うけど、中野良子もよく出てて、大して可愛くもないし、きれいでもない彼女が
なぜにこうもよくあちこち出て来て、イイ女ぶってて、しかもなんかえらそうで、大物感を
漂わせているのか不思議だったなあ。いつの間にかいなくなっちゃったけど、結婚とかして
引退でもしたりしたのかなあ。どうなんだろ。消息を知らない。別に知らなくてもいいんだけど。
(うわ。調べたらぜんぜん活躍してた。中野良子。⇒コチラ
土曜ワイド劇場とかにもちゃんと出てるんだ。「シベ超5」にも。)
「ある映画監督の生涯 溝口健二の記録」を観る。
溝口健二が最近気になるので、これも借りてみた。新藤兼人って、なんとなく雰囲気的に苦手なので、
ちょっと二の足を踏んでて、これまで観る機会もあったろうに、観ずに来たんだけど、今回観てみました。
ま、なんでも観てみるもんですな。75年の作品なので、当時の風俗も窺えるし、それなりの人たちも
出て来るので、観といて損はなし。あまり伝記的なことに興味もなかったけど、やっぱおもしろいには
違いない。稀代の監督ともなれば。最後の方で誰もが気になる田中絹代との事について各人に聞いていた、
というかそこまで溜めていて、いよいよみなさん待望のそれです、ってことだと思うんだけど、
やっぱそれは気になるよね。誰でも。そういう下世話なことが一番さ。田中絹代もハッキリと、
向こうさんが私に惚れてたというようなことは結局言ってたし、彼女の方も憎からず、というような
話なのだった。そうなると更にほんとは「ヤッタ」のか「ヤッテない」のかがいよいよ知りたい
ところだけど、そこまではさすがにね。どーなんだろ。ヤッテないのかなあ。ヤッテはいないような
気はするんだけれども。もしヤッテたんなら、関係ももっと変わってたんじゃないかと思うし。
フィルムの失われた「血と霊」(「カリガリ博士とその時代」の一項。真ん中あたり)とか観てみたいよなあ。
(以前に『1923溝口健二『血と霊』 (リュミエール叢書)』ってのを読んで尚更に興味惹かれたことがあった。
ルパンものの「813」なんて、これまた観たいよなああ。)
(つうかその前にフィルムの現存するものでも未見の作品が幾つもあるんだけれども、それはまた別として。)
「野獣死すべし」を観る。
すまん。生まれて初めて観た。松田優作ムーヴィーって殆ど観てない。TVの「探偵物語」もちゃんと
観たことがあったかどうか。おれは松田優作、ぜんぜんスルーして生きてきたからなぁ。
おれの映画趣味は基本的に女性っぽいとでもいうのか、そういう感じなので、男っぽいのとか、
男の子が好きそうなもんは後回しになっちゃうんだよな。昔から。
おれが松田優作が出てる映画で、これは観たってハッキリとしてるのは「家族ゲーム」くらい。