國家は私達から、乙女の夢まで、取上げてしまふのでせうか。

市川実日子

彼女が見たくて『とらばいゆ [DVD]』を観る。
タイトルしか知らなくて、なんかあれかなあ、オフビート系オシャレ気取り映画、得てして退屈、
(いや、「オシャレ」だったならいいんだけどさ、単に気分だけの平板なモンとかよくあるしなあ。)
だったらどーしよー、でもおれが見たいのはあくまでも市川実日子で全くそれだけなので
中身なんかこの際問わん、とか思いつつ観る。
あれ、意外といいじゃん。おやおや、わるくないじゃん。
うむ、「ここんとことか、ここんとことか好き。」
てなわけで長廻しこそあれど、よくあるオフビート系なそれってわけでもなく、
いくつか気になる点はあるにしても、ふつうにちゃんと家庭劇。ああ安心。
4人の男女の機微を描いている。会話劇。ちょっと演劇っぽくもある。
トリュフォーとかそういうのんが好きなんだろうな。きっとこの監督。
タイトルからしてフランス語だし。ヌーヴェル・ヴァーグ風味。
でも押し付けがましいそれじゃなく、役者が魅力的なのでぜんぜん充分。
そんなわけで当初考えてたのよりずっと楽しかった。
(前作の『avec mon mari [DVD]』も観てみようと思いました。)
(フランス語タイトル、ってだけで敬遠してたんだ。2作とも。)
(若者の気分、みたいなタイプのやつで、気取ってる割に最後に大声出したりするやつとかあるでしょ、
そうじゃなくて、こんな風な気持ちのやりとりを描いたもんだったなら、結構好きだもん。)
(細かいこといえば、あれこれないじゃないけれど、そんなことより
楽しめる部分がある、ってのがミソ。大事。一番肝要。)
それで『キューティーハニー』で初めて顔がわかった村上淳ムラジュン、映画はいっぱい出てるらしいし、
名前だけは知ってたけど、一体どんな人かわかってなかった、『キューティー〜』で初めて認識、
彼、よかったけど、この『とらばいゆ』でもよかった。というか見てて好き。
瀬戸朝香は全体にスッキリとしたルックスで、スラリとした肢体にスラリとした顔、
女性として魅力的とかなんとかってより、その姿が颯爽としていて、彼女を見ていると気持ちいい。
印象がさわやか。晴れやか。いいなあ。
塚本晋也、メイキングで素の彼はこの映画での印象と違い、どこか怖ろしいようなオーラを放っていて
ふつうっぽく見えるけど、まったくヘンタイ、といった感じがして、やっぱり映画監督って
ちょっと違う、とか思ったりしてた。

で、真打。
惚れるとダメだなあ。なんでもかでも可愛く見えてしまう。
ちょっとブスっぽかったりするとそれがまたかわいいんだからどーしょーもない。
『とらばいゆ』観ながら、彼女の仕草にいちいち身悶えていました。
箸の握り方が、あれ?握り箸?とか思って見てると、それがまたかわいくてしょーがない、
んだからどーしょーもない。
ああ。ああ。ああ。
メイキングで、クランクアップ、これで彼女の出番オシマイ、ってんで
泣いちゃってるのがこれまたかわいい。すべてかわいい。
(・・・・好きンなるとどーしょーもないネ。)