國家は私達から、乙女の夢まで、取上げてしまふのでせうか。

ゴダール

『万事快調』、観ちゃった。ひさびさ。いつだっけ?初めて観たの。何年か前。
どっか、映画館。リヴァイヴァル上映がきっとあった時ですな。そして今回でようやく2度目の鑑賞。
この映画は精肉工場でのストライキがメインになるが、先日の「ガイアの夜明け」が工場の話、
タイミングがよい。できればその2つに絡めて『失踪日記』におけるガス会社の下請け労働も
鑑みて、肉体労働、職業差別、賃金、その他の話などに展開してみたいが、大体、セックスと
職業差別はおれのなによりのテーマ、一番書きたいところじゃあるが、自分自身の問題として
実感があるから、議論というものは常に自分の人生・生活を問うことに終始する、でもセックスも
労働もいざとなる中々書けない。それには自分のプライヴェートなことも書いていかないと、
抽象的になるばかりで、しかし、おれはどこか臆病で、ほんとうは家族のこととか、
書きたいと常に思っているのだが、やはり書けず、セックスでいえば自分の経験などを
具体的に書きたいところだが、これはもう単にカッコツケが邪魔して書けない。
結局自分の一番のテーマについては、身近に過ぎて、より書けないという始末。
失踪日記』の感想で配管工の仕事をまるで他人事かのように書いてる人が多数いて、
おれにはちょっとショックだった。職業に限らず、ああいう職場の雰囲気ってもっと
みんな実感があると思ってたから。おれの知ってる「職場」ってのは大体あんな感じだもん。
ああいう人、いるよなあ、とかさ。
売春も兵士も肉体労働である。この世界は肉体労働で動いている。
ちょっと東京を離れると、バイトでさえ、もう選べない。
選択肢が非常に限られて来てしまう。
おれだってそうだが、話が東京か、それに準じたところに限定されてしまっている。
このはてなでも、それなりに気の利いたことを書いている人はまず東京住まいだろう。
あるいは大阪とか名古屋、札幌とかで、どちらにしろ都市部だ。
まるきりの地方の人って案外見かけない。
インターネットなんて、世界中どこでも関係ないにも関わらず。
家(うち)の母親はいまだにパートに出て、日々働いているが、毎日サービス残業をしている。
日々、1〜3時間は。毎日その分ただ働き。時給700円にも満たないのに。
父親は現在家事のみの毎日だが、シルバーなんとかでかつて皿洗いのようなことを紹介され、
一日行ったきりで、そこはつづけなかったことがあった。6時間、いや、8時間だったか、
ともかくその間、そこでは休憩といったものがないのだ。まるきり。立ちっ放しは当然で、
なおかつ、常になにかしら動いているようにしていなくてはならない。
時給?たかが知れてる。最低賃金。
以上2点のようなことはマスコミには出てこない。マスコミの人間はそもそもエリートの
ホワイトカラーで東京かその近郊に住んでいて、社会的地位と収入、あるいは若さがあるので、
そんな世界を知らないから。遠くの貧乏国のことには多少詳しかったりするのに。
不況云々の話といっても、年収1000万円の人間がリストラでどうとかって話ばかりだ。
年金の話といっても将来的にどうこうで、今現在、ごく僅かなそれで死なない程度に生活している
年寄りのことには全く無関心。そういう人たちのことは時折のニュース、殺人事件、
そういった類で映る古びたアパート、玄関やベランダまわりが散らかった2DK程度の貸家、
そういうところから窺える程度で、しかもそれは見ている側がその生活を類推してでの
話であって、報道する側はそんな生活のことにはまったくに無関心だ。数に入っていない。
存在しない人たちだから。TVにそうして映ってからでさえも。
人類は発生して何十万年かなんか知らんが、ぜんぜん智恵を積まない。
未だにこんなに野蛮だ。蛮行の繰り返し。止むことがない。
たぶん無理なんだと思う。所詮エテ公にしか過ぎないから。脳みそはムダに大きいばかり。