國家は私達から、乙女の夢まで、取上げてしまふのでせうか。

板谷由夏

しばらく前、彼女見たさに『tokyo.sora』(asin:B000069B7Z)を観た。
予想通りのあれで、確かにショットは実に見事に出来ているけど、でも思わせぶりの筈が、
手の内が一瞥で見えてしまい、始まってすぐ飽きてしまう。思わせぶりが思わせぶりとして
機能してない。ああいうのんは。つうかCM?なら一発でわからんとな。でも映画。
見えているものが見えているだけしかない。それ以上、なにもない。
観客に委ねるべき部分まで、ごく丁寧に説明しちゃってる。
一見そういうわかりやすい映画とは違うかのように、反対のタイプの映画に見えるのに。
けど実際は絵解き。
だったならいっそ、(絵解きといえば、この人)山本薩夫式にもっとちゃんとストーリーを
経済的に語り、もちろんカットはちゃんと割って、ごくふつうに撮ればいいいのに、
っていっつも思っちゃう。TVドラマを見習えといいたくなる。
まともにストーリーを語らない、語ろうとしないのは、語るべきストーリーが
そもそもないからじゃないのかしら。あるのは空疎なムードだけ。
でも上手いことは上手い。本上まなみのヘソ出し姿とか確かにたまらん。それは認める。
けど、だから余計空疎。だったら写真とかPV、CMでいいじゃん。そんな感じ。