汚れた舌
いまどき毎回ベッドシーンのあるドラマは『特命係長 只野仁』か内館ドラマぐらいだ!
(つうか「ベッドシーン」て。「肉体関係」ともいまはもう誰も云わない。)
演出をこれみよがしにやってしまうと、せっかくの脚本がもったいない気がしちゃうんだよなあ。
もっとこう、さりげなく狂ってる、ってのが趣きってもんじゃあないか。
『昔の男』でいうと、宝石店の売り子の藤原紀香が大きな窓から東京タワーの見える
家賃の高そうなマンションに住んでたり、奈良生まれ奈良育ちって設定の大沢たかおが
終始べらんめえ調の東京弁でしゃべってるとかさあ。
なんかそういうんのんが味ってもんじゃなかろうじゃないか。
いや、おもしろいんだけどさぁ、やっぱ内館牧子先生の新作ってだけでどうしても
期待が膨らんじゃうんだもん。しょうがないじゃん。文句のひとつふたつ、アンドゥトゥロワ。
地味だけど狂ってるのがいいよなあ。できれば。ううむ。
おれは落ち込んでどうしようもなく弱気になったら、是非、川原亜矢子に
「You are chicken !!!」って云って叱り飛ばしてもらうのが聖なるかな願い。
牧子先生、その世界観はルサンチマンと己の欲望に余りに忠実で、そこらへんがなんとも妙味じゃあ
あるけれど、ただ、脚本の完成度、見てる者への訴求度、引っ張り具合の上手さ、
人物設定とその関係性の巧みさ、セリフがそれ自体は一見過剰ではあっても、でも同時に
説得力も、ある種現実味もある見事さ、等々は確かなので、脚本の持つ力を生かすには
あんまり演出で遊んじゃうと、それが目くらましになっちまって、きっともったいない
ことになる。そもそもが抑えても尚過剰だし、抑えた分、脚本の巧みさも味わえるって
ことにはなりやしないか。
・・・・といったことはこれくらいにしといて、来週からはもっと素直に楽しんでみせるわ!
つうか、とりあえず録画したの見直したい所存。
ドラマ内の価値観、展開が70年代ドラマなんだよな。内館牧子。
いまどき古典的な貧富の差にあんなに拘ってる人もめずらしい。例えば。
ベッドシーンとか。例えば。
「赤い」シリーズとか、ああいうのだと思えば、さほどおかしくもないし、
それをこの21世紀に本気で展開しているところが牧子の素敵。
けど、『年下の男』までは、今回ほどに内館牧子の新作を待望する空気みたいのが
そんなになかったような気がする。ネットに限るような話かも知んないけど。
でも少なくともネットでの内館牧子を待望する空気を今回はいままでになく
強く感じたよ。おれは。なんとなく。どこがどうとかハッキリいえないけど。
それをプロデューサーとかそういった人たちがどこか受けて、今回のような具合に
なってるような気がするんだよなあ。ネットってのがそれだけメジャーになった、
あたりまえになった、ってことでもあろうし。
あとまあ「真珠夫人」とか「牡丹と薔薇」とかのヒットってのも前提には
なっているんだろうけど。作る側としては。
でもそれじゃ、ちょっと違うんだよなあ。内館ドラマは。Uuun。
あと、ごく素直にストーリーの予想とかをすると、松原智恵子は藤竜也と関係が実はあって、
それがあっての彼への憎しみだと推察する。つまり藤竜也は親子どんぶりを頂いている、と。
(すまん。誰でも予想がつくようなアレだ。でもいいじゃん。思いついたが口にする。
それが一視聴者としての嗜み。)