恋の偏差値
ああどうしたもんだかなあ。
恋愛したり、クドいたりしてみたいもんだが、そもそもまずは機会さえないが、
しかしまたそれよりなにより、42歳、収入も社会的地位もないときちゃ、どうにもならない。
二十代真ん中ぐらいまでだったならいっそ無職でもいいかも知れないが、
この年じゃどうにもならない。まったくのオンナ好きなやつだったなら、
自分の立場なんか気にもせず、どんどんクドきもしようが、おれは元々晩生(おくて)、
10年以上前から比べたら、相手がこちらに気がある場合もわかるし、こちらから
アプローチすることも多少は出来るが、いかんせん、もう遅い。カネも若さもない。
困った。そんなわけで、もし女性と接触する機会に恵まれたとしても、相手のことを
考えると、遠慮せざるを得ない。大体、この年だ、結婚の前提抜きに女の子とつきあう
ってのはありえない。お互い結婚する気がなくてもさ。といって、おれには結婚願望もない。
けど、経済や結婚、親の扶養、老後、そういうの抜きにつきあうにはもう年が行き過ぎている。
これでせめてカネでもあれば、もう少し自信、それにチャンスやらもあろうし、
相手に迷惑を掛けることもあるまいが、いまのおれの収入じゃあなあ。おれは健康だし、
仕事はマジメにもするが、マジメにやったところで、ないものはない。
くれないものはもらえない。
なんだよ、やっぱカネか。必要なものは。
カネがないと恋愛もできん。資本主義は厳しい。
でもガールフレンドは欲しいなあ。やっぱ。
頭のいい子がいいなあ。偏差値が高いと萌える。
贅沢ゆってるなあ。2浪で明学のこのおれが。
まあそういう現実はさておいて、願望だから云い放題だ。
大体いまのおれの立場じゃ誰ともつきあうわけにもいかないんだから、
ならいっそ贅沢云うに遠慮なぞ要らぬ。
ええと。出来ればおれよりひとまわり以上若くてかわいくてスタイルよくて、
冗談が通じて、言えて、服飾のセンスがよくて、
ゆってるそばからちょっと虚しい気もするが、どうせ人生虚しいばかり、
こうして生きて、そこそこ平穏であるだけで充分に恵まれてもいる、
カネがあっても幸せにはなれない、そんなセリフは金持ちになってから言いたかったが
いまはカネはないけどそう思う、お金なんて結局虚しい、
そうは言っても、自身の欲望とは縁は切れず、欲しいものも多数あるけれど、
それよりもまずはガールフレンド、どうにかなんないかなあ。
カネないけど。しかも若くもないし。前提条件がいきなりアウトだけど。
でも欲しいものは欲しい。
彼女でも、彼女じゃなくても、女の子とオシャベリしたり、いっしょに出掛けたり、
お茶したりするのはいつでも楽しい。あたりまえだ。
考えてることなんて大概陳腐。そんなもんだ。