國家は私達から、乙女の夢まで、取上げてしまふのでせうか。

シネコン

昨日の「奇談」はおれとしては当然、近所のシネコンで観てきたんだけど、
でも昨日思った、ここで、この状態で、つまり椅子とかそういう感じで、
「アワーミュージック」観てえなー、って。
だって日比谷シャンテシネ、中途にシネコン風味にしてはあるのだけれど、
席はあらかじめの整理券方式、売店もそれ風、でもでもでも、
所詮既存の劇場にちょいと手を加えただけ、まずなんといっても小っさい、
それに床の傾斜もそれほどではなくて、つまり、前の席の人の頭がそれほど低い位置になく、
場合によってはその頭に画面の一部〜大部を邪魔されてしまう、
そして都内の劇場は大体そんななのかも知れないが、上映が始まっても天井の電気が
うっすらと点いているのだった。。。。シネコンならばちゃんと真っ暗になるというのに。
もしこれがシネコンだったならば広く天井の高いロビーで過ごせて、
いや、そりゃハリー・ポッターとかあればお子達がいっぱいで小騒かったりもするよ、
でもさ、いざ劇場内に入れば静かだし、広々してるし、真っ暗にはなるし、
椅子もゆったりしてるし、観心地がいいもん。
それになんだろうなあ、おれが「アワーミュージック」を観た回、
あちこちからシャカシャカとポップコーンだのをつまむようなせわしない音がずっとし続け、
まったく落ち着かないのだった。
おれ、近所のシネコンでだって、あんな風にがさごそ騒さいのに遭遇したことないよ。
みんなそれぞれの映画にあった観賞態度で観てるぜよ。
ポップコーン頬張りながら見るのに適した映画や場面はそれらしく、
静かにしてるのが向いてる時はほんと静かに。
(要はアタリハズレの問題じゃあるが、ちょっと文句言ってみたかったんだよ。ぷふい。)
まあそれもあって、つくづく近所のシネコンか、或いは自分の部屋で
DVD観ているような時間が恋しかったぜよ。
あとあれだなあ。昨日「奇談」観ているような時に思ったけど、こういう映画、
昼間の名画座で、3本立てのうちの1本として観たいなあ、なんだかそんな時間を過ごしたいなあ、
なんて思ったりもしたけれど、もう名画座はほぼないし、それになによりおれがもう若くもなく、
ああいうモラトリアムな時間は遥か過去のものじゃある。おれは今時、映画観るならば
シネコンがぜんぜんいいけれども、名画座で過ごすあのだらだらとした時間がたまに
なんとも懐かしくもなるのだった。
それはでもきっと若さと結びついていて、単に劇場の問題じゃあないのだ。