國家は私達から、乙女の夢まで、取上げてしまふのでせうか。

レボリューショナリー・ロード

トーマス・ニューマンランディ・ニューマンの親戚とかそういう感じかしら?こういう場合調べないのがオ☆ト☆コ
音楽はなんかだるくてつまんなかった。
デカプーがなんか森ん中、かみさんのことで焦って走ってくシーンで微妙にスローになり、それらしい音楽が掛かり、なんだかそんなんで、ほんとヤンなっちゃった。低俗。
あの精神病の男の人見て「カッコーの巣の上で」の大男のインディアン思い出したのはおれだけじゃないハズなんだゎ☆

カッコーの巣の上で [DVD]

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凡庸で紋切り型でステレオタイプでありきたりで図式的でテーマをただなぞるためだけの人物設定と状況設定で、ほんとなんだか。安い。
「おまえなんかアカデミー賞でも獲ってりゃいーんだよ」
そんな感じ。所詮アカデミー賞がせいぜい獲れる程度のチンケな映画。
サム・メンデスは確かに上手い。けどそんだけ。空疎。ぜんぜん生々しくない。その実。一見、上手いから、生々しいように見えるけど、でもただのフリツケとセリフを役者がこなしてるだけだ。
おれはこういう「良心的な映画」が一番苦手。っつか罵倒したくなる。くだらねー。言いたいことだけしかないなら、映画なんか撮んないでブログでも書いてりゃいいのに。
すごく上手いからちょっと気づきにくいが、ここには描写がない。映画や小説が論文なんかと違うのはなによりその描写ということなのに、ここにはその肝心の描写がない。単に言いたいことの説明っかない。
「良心的な映画」なんてみんな滅んでしまえ☆ おれは「20世紀少年」と「少林少女」をむしろ推すよ。そっちの方がむしろ映画だ。(←こういうハッタリとかアオリ、レトリックをたのしむのが文章書く喜びなんだゎ)
冒頭のケンカ・シーンは思い当たるところがあって(このへん宇多丸とおんなじ。めずらしく彼にそこんとこは共感した)、ちょっとよかった、っつか胸が痛かったりひやひやしたが、けどそのうちノレなくなって来てしまい、やがて映画自体の浅薄さに飽きてきちまい、中身のウスッペラさに気づいてしまい、
くだらない仕事とか盛んに言ってたが、あんな風に自分の机があって、そのデスクでなんだかのんびり出来て、ホワイトカラーで、給料もよっぽどにいいっつんなら、おれならぜんぜん文句ないね。うまらやしい。マジで。だってラクそうだよなー。あれ。実際仕事があんなんでいいんなら。いい加減に事務のねーちゃん抱いたりも出来るし。そんでべつに問題も起きないし。気楽でうらまやいし。同僚もみんな仲良さげだしね。
セックス、あるいは性的なシーンが、上手くてそれっぽいんだけど、でも単にシーン、こなしてるだけなんじゃねーの?とかって思う。まー全体にそうだけど。監督自身が性に対してどうしようもないテーマを抱えてるって感じは少なくともしない。人間関係を描くのに当然出てくるからっていうので、ただそういうシーンがあるようにしか思えない。この前見た「白いカラス」とは違う。「白いカラス」が特別に優れていたわけではないけど、でももっと真摯だった。セックスというものに対して。性的人間というものに対して。
こういうんだったらマンガでも映画でもTVドラマでも(向田邦子でも誰でも)小説でも、もっと優れたものをいままで幾つも観てきてるもの(そんな気がする)。
彼らの子どもたちは成長すると青年期を60年代に迎えると思うが、おれはだからあの子どもたちのその後、60年代、70年代、それ以降を知りたいと思った。もしかするとあの子どもたち、女の子と男のもいたと思うけど、ベトナム行ったりしてるかも知れないし、ヒッピーにでもなったかも知れない。
この映画は敢えてエルヴィスも出て来ない時代を描いちゃいるが、でもそれが時代設定以上の意味合いを感じさせてくれない。もっともっと不穏で普遍的でもありうる題材だのに。まったく同じ脚本だとしても、ずっとぞっとする映画にだってなったかも知れないのに。
成瀬巳喜男の映画の厳しさ、人間関係に対する容赦のなさを思うとほんとなんかなあ。
「レヴォリューショナリー・ロード」、良心的な映画としか言えない。
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