サマソニ2022 その1
サマソニ行く前からはいつも新しいズック買ったりしてる。ひと月前とか。
でもこの前(4年前?)(2018年の筈)行った時は靴が合わず、ひどい目にあった。無理くりサンダル買ったりして履き替えてなんとかしたりした。
今回はさすがにいつも履いてるのとおなしタイプのにして、しかも何度かは意識的に履く日も作ったし、まあ、大丈夫だった。
それと帽子買った。サマソニ行く時はいつも帽子被るようにはしてて、普段は無帽なんだけれども、サマソニ仕様。前行った時はユニクロで買ったやつだったけど、今度は地元のショッピングモールの帽子専門店で。パナマハット。ユニクロのも型としてはそんな感じの。もうちょっと麦わら帽子っぽいかな。今回のはもっとパナマ帽らしいの。少しお高い。9200円。本物のパナマ帽だともっと高いけど、だからそれよりかはグレードは劣るわけだけれど、形も色も気に入ったし、これにした。
買う時、店の若いオニイサンと話して、こんな感じのみたいに軽く相談しつつだったんだけど、おれはその時「海辺行くイメージで」とか言って、それで海辺だと風が強いから飛ばないようにしないとみたいな会話になって、とはいえでもそんな海っ傍(ぱた)でもないんですよとおれは言い、実はサマソニ行くんですとうふふな気持ちで口にしたら、彼は少しさみしそうな顔して「大阪ですか?」「いや、東京です」と返事して、そして更におれは「サービス業だとねぇ、休めないしなあ」とある種共感を持ち、彼に伝えた。
行きたいよね。フェスね。夏フェス。
おれも休みらしい休みはないけど日曜は休みだし、土曜日も休もうと思えば休めはするんで、こうして行けはする。ほんとは月曜まで休んで、最後までゆっくりしたいけどね。それはちょっと無理。前はそう出来た時もあった。
あともっと前だったなら、土日に休むとか出来なかったんだよなあ。今の職場で。いつからか、なんとか休めるようにはなり、サマソニへ行く習慣にはなった。
帽子屋の彼氏もなんかしらフェスに参加出来るといいんだけどね。願ってます。
他に持ち物として、スマホ用のショルダーストラップも買っといたし、実際ずっと使ってはいたんだけど、案外と使ってる人、会場でいなかったなあ。もっとみんな使うものかと思ってたよ。そうでもなかった。いまスマホは必須だからさあ。なのに邪魔だしね。でも、おれ、せっかくのショルダーストラップあったのに、何度か会場で焦って地面にスマホ落としたりしたからなあ。中々上手くはいかん。
あと、ショルダーストラップしててもスマホはぶらぶらと腰の辺りでしてしまうわけで、だからおれはずっとショルダーバッグの前面ポケットのチャック開いてそこへ突っ込んでた。正解がわからん。
前行った時は首から下げるタイプのだったし、それはそれでよかったけど、それだと首が重いからね。だから街中でショルダーストラップ見掛けて、あれ欲しい、サマソニで行けそうと思って買ったんだよね。まあ実際使ったわけだし。いい買い物ではあった。
サマソニ行く少し前に歯医者で右下の歯にセラミックの被せ物するのも終わってたし、仕事も一旦は片付いたし、行く前日には忘れず除菌ティッシュも買ったし(これが一番役に立ったかも。ほんとちゃんと用意してってよかったNo.1)、ちょっと前に100円ショップで買った細かいもの入れるための小分け用の袋もあったし、なんか過不足なかった。(おれは泊まりなんで持ち物がどうしても多くなる)
当日は5時起きで幸い雨はなく、イオンで買った冷凍パン一個だけの朝食、予定通りの電車に乗れた。当日の朝は髭剃りやらヘアワックスやら、直前で使用して、それからバッグに詰めるものもあって、そこがいつも気持ち面倒。電車は海浜幕張着くまでずっと座れた。途中、武蔵野線に乗り換えたけど、それも空いてたし。武蔵野線はしかも海浜幕張直通のやつだったしね。いつもは西船橋とかで乗り換えじゃなかったっけ?
海浜幕張着いたのが9:02。早い時間だけど、既にだいぶん混雑してた。みんなまだチケット交換とかもあるからね。これまではもっと遅い時間だったな。10時半とか11時ぐらいじゃなかったかな。海浜幕張着くの。今回は11時からのリンダリンダズがあったから、とにかく早くということで。
行きの電車の中ではPOP LIFE: The Podcastのボビー・ギレスピー自伝を巡る回を聞いていた。おもしろかったし、サマソニ2日目、プライマル・スクリーム、スクリーマデリカライヴは見たくなった。ただまあ、時間的に2日目で遅い時間で無理あるなあとは思ってたけど(結果見ることなく帰った。残念)。
チケット(2日分)の交換するところまでは遠いんだよねえ。ぼんやりとは場所は憶えてはいても、3年ぶり(?)だし、距離感の記憶が違った。思ったより遠い。気が急(せ)いてるのもあったかな。リンダリンダズで。
今回からはさすがのスマホチケット。サマソニでそれは初めてだからちょっとドキドキ。そして入場。手荷物検査、でもあれ、再入場繰り返すうち、段々雑になって来る。それはそうね。見たフリ、ぐらいになるもんな。特に最後の方とかは。ああいいよいいよ、さっさとどうぞって雰囲気。
会場入ると、マリーンの方ね、なんせおれには旅なんでリュックしょってるから、そいつを預けなきゃなんない。クロークは利用すべしというのはとうに学んでるし。けど、クロークの場所が前とはちょっと違った。会場のレイアウトが若干変わってたから。そりゃ変わるよね。だからインフォメーションで訊いちゃった。でも案内の人もまだ要領得なくて、目印がどれでみたいのが出来なくて、おれにはぼんやりと方向がわかるくらいだった。でもまあ、インフォメーションからそう遠いわけじゃないし、ビーチステージの門潜ってしばらくと見当つけて、行くとビーチステージとクロークで道が分かれてるので、そちらへ。
リュックと小さめのショルダーバッグをおれは身に着けてて、リュックだけ預ける。ちょっと悩んだのはレインコート。でも幸い雨の気配はなく、それは省けた。雨降ったらクローク取りくりゃいいやって。ショルダーバッグにはちょっと入らない。レインコート。
レインコートは何年か前に無印良品で買ったギンガムチェックのそれで、何年か前にそれ着たのが写真残ってる。結構それは気に入ってる写真。レインコートが可愛いし。
そのレインコート、でも女物なんだよな。ボタンの左右が違う。後から気づいた。でもレインコートはレインコートだし、特に不自由はなく。あと見た目が好きなので身に着けると気持ちがアガる。
そういえば今回は写真、ほぼ撮らなかった。なんかめんどくさくて。なんとなく。他に誰かいればもっと撮ってた気もする。一人だから勢いがつかない。
無印良品ていえばリュックも緑色の数年前に買った無印良品のだし、たぶんサマソニ用に買ったんじゃないかなあ。したらコロナで中止、と。たぶん。
そのリュック、内ポケットとかも結構あるし、便利なんだよな。だから買った。
ようやく荷物預けて一段落。ほ。
マリンからメッセへ向かう。シャトルバス。朝イチだからまだぜんぜん空いてる。
入場。
まずはメシと。見るものがこの後続くので早目のお昼。
タイラーメン。食ってしばらくうろうろしてたけど、なんかまだ腹減ってる気がして、更におなし店でハニーバターチキンを。これは美味かったな。タイラーメンと合わせておなかの膨れ具合もちょうど良かった。
そうね、今回はビールは一切飲まず。他、アルコールも。口にするのは水かポカリか。
お水も300円とかだから、水分補給してるだけで、一日きりでも結構な金額になる。
普通に飲み食いしてるだけで5000円は行くよね。まあ、お祭りで、そうだと承知してるからいいんだけど。カネ遣うのもたのしみのうちつうか。
前回から既にそうだったけど電子マネー(おれの場合はSuica)使えるようになったのはフェスではありがたい。現金の出し入れ、めんどくさいもんね。まあ、会計の方はといってスムースってわけにもいかなくて、実際には現金の方が早かったりすんだけど、それぐらいはね。いずれは解消されるでしょう。
ちなみに2日間の内訳。
2022/08/20(土)
クローク 1000円
ポカリ 300円
タイラーメン 700円
ハニーバターチキン 600円
クリスタルゲイザー 300円
アクエリアス 180円(これだけどこかの自販機)
ポカリスエット 300円
バインミー 950円
クリスタルゲイザー 300円
けずりん(いちご) 600円
パッタイ 900円
アイスコーヒー 500円
計:6630円
2022/08/21(日)
黄金中華そば 1000円
アイスラテ 550円
イオンウォーター 300円
4種のチーズとハチミツ(ピザ) 1000円
いちごけずり 600円
クリスタルゲイザー 300円
沖縄そば 900円
クリスタルゲイザー 300円
計:4950円
そしてソニックステージへ。
彼ら、子供だから、早い時間だと思ってたら、やっぱそうだった。11時から。
リンダリンダズ。
わぁお。
真ん中通路の柵(プラチナエリアの囲い?)の前方に場所取れた。
Growing Upからで、Lucia、いつも歌い切れてないんだよな。YouTubeで他のライヴ見てると。ちょっと不安になるが、それはわかってるし、いつか歌い切れる日までおれは待つよ。Growing Up、いい曲だよね。いちばん好きかも。好き。
たまにちょっと拙いところがあっても大丈夫に思えるのはMilaのドラムがいいから。そこで気持ちが安定していられる。彼女のドラムが要。バンドはドラムに支えられているのはあたりまえのことで今更だけどさ。でもさ。
Lucia、YouTubeでいろいろ見てても、いつも身体の動きがしなやかで、ダンスっぽさあるし、脚を振り上げるのとかいいんだよね。見てて気持ちいい。あと、彼女、歯の矯正具がいつ取れるかが気になってる。10代はずっと着けてるのかな。ああいうのって。取れる日が来たら、おお取れたゎあって思う(予定)。
Lucia、客にウェーヴを促したり、他にもそういうライヴでミュージシャンがよくオーディエンスに指示するのを試しに2、3やってみてて、客がそれに応えてくれるの見て喜んでて可愛かった。やってみたいんだよな。ふふ。思いつき、おもしろでやってるんで、演出としてこなれてるわけでも、演奏に上手く絡んでるわけでもない。MCタイムに、ええと、みたいな感じでやってた。そういうのも含めて、見ててほんとたのしくてさ。
Belaは割りとおとなしめというか、はしゃぐタイプじゃない。それで歌がいつも安定してるし、歌上手い、彼女は作曲面でも安定してる印象ある。リードヴォーカル取ってるから「Oh!」とか彼女がメインで作ってる曲だと思うんだけど、曲に巧みさ感じる。まあ単純に「Oh!」はいい曲ですよ。好き。
EloiseはWhat's in my bag?見ててもハード目の音が好きそうだし、そこらへんはおれのイメージ通り。
Eloiseはでもヴォーカルが今の発声だと少し無理して声を荒くしてるみたいに思えてしまい、そこが前から少し気になってる。それで久しぶりに図書館ライヴの見たら、そこでの声はスッと聞けた。彼ら、成長期でもあるし、喉の具合も変化があるのかな。
というかこの図書館ライヴ、まだ一年前か…
1年で大きくなるよねえ。この年頃。
リンダリンダズ、今回衣装がみんな可愛かったけど、デザイン(仕立ても?)Belaがやってんだよな。たしか。つい最近どっかのインタヴューで見た。すごいな。
スクリーンにリンダリンダズのロゴが数種類ループで流れ続けてたんだけど、あれもメンバーの誰かが作ってんのかなあ?もしかして。
リンダリンダズ、幸福感がステージ上にも客席(スタンディングだから”席”じゃないか)にも漂ってて、すごくたのしくて気分良かったな。たのしい気持ち。
でもってリンダリンダズ終わりで次のお目当てがマリンスタジアムのビーバドゥービー、移動を焦ったよ。シャトルバスは既に混んでるし、並んでるし、じゃあ歩いてった方が早かろうとすげえ速足で歩いた。気持ちは焦り続ける。歩きでもさ、結構混んでんだ、これが。隙を見つけちゃ縫うようにガシガシと。遠い。こういう時はほんと遠く感じる。息切れして、ようよう到着。マリンスタジアムは水以外は飲み物持ち込めないの知ってるし、しばらくマリンスタジアムにいることになるしと、あらかじめトイレも済まし、アクエリアスを一気飲みして、一旦落ち着いてから入場。入場はスイスイ中へ入れてよかった。既に始まってる。「Care」の途中から。「Care」、ちょっと聞けただけでも良かった。それでその後も「Coffee」「Talk」「Last Day on Earth」「Cologne」と聞きたかった曲は遅れて入ったけど、全部聞けたんでよかった。
ビーバドゥービー、かわいくて好きという身も蓋もなさですが、遠目とはいえ生で見れてよかった。正直、間近で見たかったです。でも前へ出てく体力も根性もない。
ビーバドゥービー、ドラムが大振りな叩き方(イメージ)で、ドラマーの彼氏(名前把握してない)(いま検索したけどわかんなかった…)好きなんだよな。雰囲気もドラミングも。
待望のビーバドゥービー聞けて(見れて)、そのまま同じ場所で待機。リナ・サワヤマ。
1曲目「Dynasty」でいきなりガツンと掴まれる感じで素晴らしかった。
MCはやっぱ日本語なのかなあとサマソニ出演決まった時から考えてたけど、無理に日本語じゃなくて、話しやすい方でいいから、英語でいいしとか余計なお世話でずっと考えてた、バイリンガルとはいえ、英語の方がずっと普通に話せるだろうし、日本語で話されると照れちゃうとか思ってた。
ショー自体はしばらく前にYouTubeで見たコーチェラ2022でのそれが完璧でそれを見た後は他のコーチェラの出演者見ても気持ちが入らないぐらいだった。
彼女のショーはパーフェクトな構成でいつも隙がないけど(YouTubeで今はあれこれ見れるからね)、でも今回のサマソニでのショーは完成度で云えば弱かった。初めての日本でのショー、そこで日本語で伝えるべきことがあるとの思いが強くあり、ショーとしての完成度とは別にリナ・サワヤマにはやるべきことがあったから。
MCタイム、話題のスピーチが入るあたり、けして見ててスムーズではなかった。流れが止まったりもしてた。
最初に声出しについての見解を彼女は述べ、それはコロナ禍とはいえ、自然に出てしまう声は構わない、オーディエンス同士で声出しのマナーにつきジャッジするのはやめましょうとの呼びかけだった。でもおれ自身はそこで戸惑ってしまったのも事実だ。
そこは矩(のり)は超えるというには気持ちの問題でなく、医療の問題ではあって、更に後ほどにツイッターで知ることになる同じサマソニの別の場所でHYDEが云ったという不安な人の横で声を出すのはけしていいことじゃないんじゃないかという方がしっくり来るものじゃあったし。おれとしては声は自然に出るだろうけど、そこはある程度はわかってて放って置くことだとは思ってはいて、でもステージ上でそれをパフォーマーが口に出してしまうのは別じゃないかとその時には感じていた。
ただ、そういうおれの気持ちや”ジャッジ”とは別に、リナ・サワヤマ、彼女がそのことに言及するのはそれなりの考えがあってのことだし、海外のフェスではそもそもマスクさえしていない、ある程度の経験則と、それに神経質にジャッジすることで争いや不快な思いになるのはこうして今ここに集まった、集まれることのありがたさを打ち消してしまうことにもなるという思いがあったのかななどと思いもする。
それにこの場合彼女がいちばん伝えたかったのは声出しのことではなくして、互いにジャッジしない、いまここは特別な場所、Safety Zoneというものがもしこの世に可能であるのであれば、そうであっていい、そうであって欲しい、という願いだったんだろうと思う。
それでも実際には気持ちにズレが生じ、言葉が行き場を失い、けしてSafety Zoneなんてこともないのが事実だけれど、でも願いはあってもいい、いつか必ずという真摯な思いがもしミュージシャンの側にあるからこそ伝わって来るものがあるはずで。多少のズレや間違い、それらをおいてもっと大事なものはあるし、愚直に理想を信じることの意義だってある。そういう真摯な思いを持つ人の声をこそおれは聞きたい、聞いてたい。それが聞きたくて、それが聞こえてくることを期待して音楽や映画にいつも臨んでる。そういうんじゃない”わかった風な口”を聞くのなんか見たくもないし、Cool気取りのヤツの言なんか構うこたない。
ステージの合間の短いスピーチで伝えられることは限られてる。文章に起こして採点すれば赤が付くこともあるだろう。言いそびれたり、言い過ぎたりだってある。彼女にすれば英語に比べて慣れない日本語で敢えての、日本で日本語で伝えられる機会を自分は充分に活かさないといけないという思いがあったはずだし。少なくとも根にある言葉をなんとか受け取ることに努力を傾けたい。おれは。それはリナ・サワヤマのためであり、おれのためであり、オーディエンスみんなのため、あらゆる人のためでもあるはずで。
(ところで「彼女」でいいのかな。日本語だと「They」に該当する言葉が現状ないからな。そのへん、わからない)
声出しにのそれに続き、ここからが本題、自身のLGBTQの「B」であることと、日本に於ける同性婚の未だ認められないことへの言及があったのは周知の通り。
おれとしてはそのあたり、わかってない、自分の言葉になっていない、ということもあって、今回に限らず言及するのに躊躇いがあるのだけれど、その戸惑いについては稿を改めて書きたい所存、それはともかく、そのステートメントの中で「バイセクシャル」「日本人」「G7」などのワードが聞いていると引っ掛かってしまいもしたが、それも又単語の問題ではなくして、そこだけ拾い上げても彼女の本意じゃない。
この日本で、そして日本語で、しかも多くの人(マジョリティ)には遠く、馴染みのない話題とも考えられることをなんとか伝えようとの工夫として、この場にいる誰しもに伝わって欲しいとの思いで、ある意味わかりやすく、伝わりやすくを心がけての結果じゃないかとおれは取ってる。それとこの場に彼女自身がパフォーマーではなく、観客としていた可能性を考えて、一観客だったかも知れない、かつてはそうでもあった自分に向けての。
「バイセクシャル」についてはLGBTQのいずれかと敢えて云えば「B」ということで(「パンセクシュアル」ではなくして)(←「パンセクシュアル」をおれは判ってないが)「バイセクシャル」と遣ったのだと思うし、「G7」というのもニュース性のあるわかりやすい表現としてのそれではあるし、「恥ずかしい」というのも「それは恥だ」ということではなく、It's a shame that~なら普通の表現のはず、英語には疎いおれだけれども、民主主義をそれでも第二次大戦後標榜して来た国であるならば、今のこの新しい潮流への理解と参加を求めてもいいはずだし、自身生まれた国のことでもあって、もどかしさがより強くありもするだろうし、すべてのことに言及は出来ない、そして「日本人」という表現も限定や特定の意味じゃなく、日本人以外を省く意図が彼女にあるわけもなく、この地に暮らす人間ということの端的な(単語だけ取れば不十分ではあるけれども)表現として、また自身が日本人であるということとも繋がってはいるのだろうということから出て来た単語ではあるはず。それに「日本人」ということよりも「人間」だってことを強調していたのだ。彼女は。そっちが重点で「日本人」は通過点だろう。
以上はしかし、実はおれ自身がその場で聞いている時にそれぞれの単語に引っ掛かってしまったからこそ、ちゃんと考えたいと思って考えた結果でもある。「バイセクシャル」に関しては、それは事情に疎いおれでも、その単語選びは違うのじゃないかとその場で思ったし、またナショナリズムに殊更に抵抗のあるおれとしては「日本人」というワードには意味合いより先に生理的に引っ掛かってしまう傾向があり、だからステートメントを耳にしながらも躓いて、少しく気持ちが冷めてしまったりもした。
でも彼女自身、ステートメントが機能せず、言葉が伝わらず、或いは自身の言葉の選択に間違いが生じる可能性も測ってはいたに違いない。それでも伝えなきゃ、いま云わなきゃってきっと強く強く考えて考えて当日を迎えたのだと思う。
ステートメントの途中、言葉が出ず、英語で言う場合もあって、聞いててやはり日本語だと上手く言葉が出て来ない場合があるんだなあっていうのは実感した。それでも今の日本で、日本語で言う必要がリナ・サワヤマにはあったんだよ。
コーチェラ2022でだったかな、そこでも彼女はフロリダ州で施行されたというDon't Say Gay法への反対表明として「Say Gay!」という呼びかけをしており、でもそれはパフォーマンスに溶け込んだ流れが中断しないものになっていた。それに比べるとサマソニでのステートメントはぎこちなかったが、ショーの流れに多少の差支えが出てでも、これはやんなきゃってのがあったんだと思う。見てて緊張してるのも分かったし。政治的なメッセージに忌避感の強い日本という場所で、スッと言葉が出て来ない場合もある日本語でやることの困難というのがあってでも。
で、おれとしてはステートメントの後、幾つかの単語に躓いたせいもあってライヴそのものにはそこまでノレなくなり、少しく冷めて見てもいたけど、サマソニ後、YouTubeではしばらくぶりにリナ・サワヤマ検索であれこれ見たりして、結局彼女の事ばかり考えてた。真摯な人には結局胸を打たれる。
それとリナ・サワヤマのステートメント聞いた時、すぐに思い浮かんだのはイ・ランのソウル・ミュージック・アワードでのそれだった。
この後に行われたライブパフォーマンス(『オオカミが現れた』)の最後に手話で「差別禁止法、今」というメッセージを伝えたということもお知らせしておきます。
本日の第31回ソウル歌謡大賞(ソウルミュージックアワード)で「今年の発見賞」を受賞したイ・ラン @langleeschool の受賞コメントを、以下、本人の依頼により翻訳して紹介します。「こんばんは。私は麻浦区望遠洞で暮らしている37歳(おそらく韓国の数え年齢・訳者注)のイ・ランと申します。
— HAN,Tong-hyon 한동현 (@h_hyonee) 2022年1月23日
あとライヴ中、彼女、暑いということは幾度か口にしていて、見るからに結構つらそうで、全開になりきれてないかもなあと心配にもなってしまっていた。それもおれがノリきれなかった一因。心配が引っ掛かって。
日本の夏には慣れてないもんな。イギリスよりは暑いでしょ、きっと。蒸し暑い。ステージ上ならば尚更。動きも激しいしね。その後大阪では熱中症ぽくもなったみたいだし。そこもいつものパーフェクトなリナ・サワヤマ・ショーとは違うとこではあったはず。広さ的には屋外のマリンスタジアムでよかったとは思うけど、メッセ方面、マウンテンステージとかがほんとはよかったかもなあ。冷房効いてるし。その方が見てるこちらとしては近いし。スタジアムショーというのはやはり味気なくはある。でかすぎて。
ということで今回どうしても見たかった3組、リンダリンダズ→ビーバドゥービー→リナ・サワヤマの流れは観了。続けてなので忙しかったけど、ビーバドゥービーの冒頭部分以外は被ることなく見れてよかった。わぁい。
で、あとはわりかしのんびり行こうと決めてたんで、一度メッセへ戻る。