國家は私達から、乙女の夢まで、取上げてしまふのでせうか。

駄目ジャケ100選

ラヴィン・スプーンフル"Hums of the Lovin' Spoonful"は彼らの代表曲、おれが中高生だった頃は
FENの定番だった、"Summer in the City"が入ってるアルバムなんだけれど、昔っからこのジャケットは疑問だった。
"Summer〜"目当てで彼らのレコードを買おうと画策していた大学生当時、このジャケットを見る度萎えてしまい、
中々手が出せなかったのだ。
だってこれ、67年だよ。出たの。なのにこのジャケット。云うまでもなく「サージャント・ペパー」の年で、
アルバム・カヴァーにはそれなりの意匠を凝らすべきじゃないかって風潮には充分なっていた筈。
(正確には67年の1月なので殆ど66年みたいなものだが、でもそれにしても)
なのにボケた写真をヘタクソに切り貼りしたような、デザインもなにもない、やっつけ仕事のようなこれ。
意味がわからない。よくわからん新人のデヴュー・アルバムってんでもなくて、3rdアルバム、
既にそれなりにヒット曲と知名度のあった彼らのレコードを出すにあたって、なぜかこのジャケット。
フシギだ。
そんなわけで件の"Hums of〜"を聞いているけど、ああいいなあ。
"Summer in the City"以外は、ま、地味なんだけどね。でもその地味なしっとり具合が又なんともいえない。
彼らが音楽を担当したウッディ・アレン"What's up Tigerlily ?"SFシネ・クラシックス
(この解説は詳しくていいな。それになにより、ちゃんと「国際秘密警察 火薬の樽」
「国際秘密警察 鍵の鍵」の2本の映画を再編集と書いてあるし。
従来だと「鍵の鍵」っきりだもん。言及があるのは。「火薬の樽」を偶々観た事のあるおれとしては
〔浅草にある、タバコ吸い放題のホームレスかそれ寸前のオヤジしかいない映画館で観た。〕
「火薬の樽」への言及がない時点でその記述を信用できない。って程じゃないが)
のサントラもいいし、コッポラの「大人になれば・・・」はサントラもいいし、映画自体、好き。切ない青春モノで。
ジョン・セバスチャンはおれが中学くらいの時、もうその頃は当然ソロだが、「ウェルカム・バック」
って曲がヒットしてて、よくラジオで流れてた。
その頃は「サマー・イン・ザ・シティ」のラヴィン・スプーンフルしか知らないし、
ましてやジョン・セバスチャンがそこの人だったなんて尚更知らない。
なんかカントリーっぽいヒット曲だなあ、ってぐらいしかわからなかった。
(当時はそもそも今とチャートの作り方が違うのだろう、カントリーっぽい曲も多かったし、又もちろんヒット曲の傾向も違う、
チャートは白人中心で、ディスコは正にそこへのカウンターで、だからこそ、その軽薄さも相俟って、
ディスコ蔑視は大きく、ロックっ子だったおれも、単に気分で、まあ中学生だし、
ディスコってだけでバカにしてたもんだった。
いまはもう大人になって智恵もついたので、ディスコから始まるダンス・ミュージック優位、そしてイーグルス
「ホテル・カリフォルニア」とセックス・ピストルズによって77年で「ロックは死んだ」ということに対しての見解などもあるが、
それはもう何度も書いた。そしておれは同じことばかり書いている。)
でもどこか印象的で♪ウェルカムバックってそこんとこだけ、正に「ウェルカムバック」って一言分だけ、
たまに思い出して、ハナ歌で唄ったりしてた。今でもしてる。
ああたまにこうしてラヴィン・スプーンフルなんて聞くと溶ろけちゃいそうだなあ。切ねえなあ。
"Coconut Grove"っていうとデイヴ・リー・ロスがカヴァーしてるなあ、ってすぐに思い浮かぶ。
それ自体はちゃんと聞いたことはないけど。あの人はビーチボーイズの「カリフォルニア・ガールズ」もやってるし、
アメリカのロックの伝統に忠実ですな。
ラヴィン・スプーンフルってどこか印象がヤング・ラスカルズに似ている。
とても革新的で与えた影響だって大きいだろうに、結果案外地味。
それに4人組だしさ。どっちも。
(例えばジミヘン、ジャニス・ジョップリン、ドアーズなんかはこの時代のロックについては定番中の定番で、
なんたって絵になるし、音も派手、取り上げやすく、語り易いし、しょっちゅう名前が出る。
そこいらと較べるとどうしても印象は地味。)
"Full Measure"、この曲、ほんと好き。ああ。もう。