國家は私達から、乙女の夢まで、取上げてしまふのでせうか。

『渡り鳥いつ帰る』

昨日観たこれ、もう少し書いときたいが、いろいろと見所があってさ、上手く言えりゃあいいんだが、
ともかくも、食うシーンがいい、って書いたけど、高峰秀子がまったくのアプレで、調子ばかりよくって、
とんとマイペース、自分のしたいようにしかしやしないって女なんだが、これがまたなにかっちゃ食ってる。
やたらと食う。ちょいと甘いもんが欲しいんだけど、とか言い出して、仕方がない、田中絹代
(甘いもんなくて)せんべい出すと、それをまたパリパリ食うんだが、その様たるや、全くに怖じず、
躊躇いなくて、その女の図々しさと相俟ってまことに素晴らしい食いっぷり。いやはや。
観た人は誰もが感心するってなくらい。
あとはあれだな、ユーモア。
時々あるちょっと笑えるシーンが、タイミングなんかよくって、これまたよかったなあ。
この映画に関して、もっと他の人とも共有したいけど、観てる人、観る機会のある人の限られる
作品なのが惜しい。あそこよかったよね、あれ、笑えたよね、とか、そういう感覚を
共有していっしょに楽しみたいなあ。みんなで語らいたいような作品。