國家は私達から、乙女の夢まで、取上げてしまふのでせうか。

氷の世界

《 ふーん。ミリオンヒットが生まれないというのは、そんなに異常なことなんすか。 》
(2004/12/06)〔音楽観察者〕 
おれとかid:Andyさんなんかの世代だとミリオンセラーっていうとかつての井上陽水氷の世界 (紙ジャケット仕様)』の
印象がでかいと思う。
当時おれはまったくの子供、小学生、レコードなんてシングル盤が何枚かとソノシートが
何枚かぐらいしか持ってなかったけど、でも『氷の世界』ってレコードが100万枚売れたらしい、
って話はどこからか入って来たものだった。まあ当時それほどに話題だったってことだよな。
「ミリオンセラー」ってのはなんかそんなもんだった。滅多にないことだったってことだ。
時代は変わっている。昔は中年以上の人はまず、レコードなんか買わなかったし、普段音楽を
聴くようなこともなかった。それがいまは別にマニアの人じゃなくたって、カーステには
あゆでもサザンでも必ず入っているし、カラオケは誰かと飲む際には付き物になっている。
音楽はコピーやダウンロードされて云々、て論調も上記id:Andyさんの引いた文章の中に見られるし、
よく聞く話だが、しかし、だ、ミリオンセラーが全くのあたり前になったのはなによりかにより、
レンタルでのCDシングルの隆盛が起爆剤になったのだ。そもそも。物事ってのは重層的複合的に
起こるもので、「コピー」や「ダウンロード」が環境を作り、その結果、更にCDが売れたりもする
という点もある。大体レンタル屋が仕入れる御蔭で最低限の売上枚数が見込めるという
ことだってある筈だ。レンタル屋は名前がある人の新譜は最低何枚かは入れるし、アーチスト名に
吸引力がなくとも例えば演歌なりヴィジュアル系ってことで仕入れてもらえる一枚、ってのも
あるのだ。本来ゼロ枚が3000枚売れたら、それだけで儲けもんじゃないか。
それにミリオンセラーはでなくとも、音楽を聴く層は断然厚くなっており、底上げがされて、
幾ら売れなくても、これだけの数は捌ける、って状況だってあるんじゃないか。
例えば40年前に比べたら。
音楽産業がこうも大きな商売になったのはそんなに古いことじゃない。単純にいってビートルズ以降、
60年代からコッチだろう。誰もが音楽を聴くようになったのだ。なにより。
経済である。上がりもすれば下がりもする。あたりまえだ。そして天気と同じで予想が出来そうで
出来るものじゃない。(バブル期、ジャパン・アズNo.1時代に、上がったら後は下がるだけ、って、
そんなあたりまえのことすら誰も言わんかった。だからおれは経済学者とかその手の評論家とかを
全くに信用出来ない。ふつうに考えれば誰でもわかることがわからん、て、ただのバカじゃないか。
それじゃ。「平家物語」読んどけ。おれはもちろん授業で冒頭のところを読んだっきりだけどな。ぷふい。)
これからまた20年、30年後、音楽産業がどんな風に展開してるか、なんて予測はつかない。
でもいえるのは絶対「ゼロ」にはならない、なくなったりはするもんじゃない、ってことだ。
(まあ、日本沈没とかそういう事態の場合は知らんがな。自然は尚更予測はつかない。)
時代は変わる。経済情勢は変わる。それだけ。