國家は私達から、乙女の夢まで、取上げてしまふのでせうか。

リンダリンダリンダ(ネタバレネタバレネタバレ)(観てない人は読んじゃダメ!絶対)


大人し目なルックスの(役名)萌ちゃんが歌いだすと、これがもうとんでもなく
歌が上手くてクリビツテンギョー、え?ビョーク?とか思ってしまった、
そんでクレジット見たら、彼女が湯川潮音
なんと「犬猫」の主題歌(?)やってた人じゃないですか。わぁお。
これはちょっと気になる。ちゃんと聞きたくなって来た。
(てか、あそこはお客さんをビックリさせる算段だよなあ、監督の。
まんま騙されていい気分。事前情報がないっていいね。)
それ以前に湯川潮音、演技上手くないか。ふつうに役者さんだよ。あれじゃ。
演出の勝利、なんでしょうな。それにまた。
山下監督って、でも気まずい会話や雰囲気を撮るのがすっげえ上手いよなあ。
どうしたらあんな風になるのかなあ。
で、先週「ローレライ」を観ていたので、正に香椎由宇を見学するに
打ってつけの精神状態だったのです。わたくしは。これを観る時点で。
香椎由宇、以前「ウォーターボーイズ」で顔がキレイ過ぎてピンと来ん、
とか云ってたそばからちょいとコミカルな演技なぞするのを見て、
彼女を見直すという安易な視聴者にありがちなことがありましたが、
今回の「ローレライ」「リンダリンダリンダ」でしっかりと彼女を
認識する機会を得たことを喜びたいと思います。
でもそうはいってもやっぱタイプではないから、
萌えちゃうとかそういうのんは相変わらずないんだけんども。
監督が「TVブロス」だかのインタヴューで「香椎由宇ちゃん、ほんとキレイな顔してて」
とか云って、彼女のことをちゃんと見れなかったとかしょーもないことをいってましたが、
そんなんなのに、彼女に限らず、出てくる女の子の表情、ひいては演技、
ぜんぶぜんぶ素晴らしかったんだから、世の中わからない。才能って怖い。
最後のほうで降るどしゃ降りの雨、その雨が降る必然も、それ以前、
屋上でまんが喫茶やってる留年してる先輩(山崎優子。彼女もまたよかったなあ。)
に誰だかが話し掛けてるシーンでの曇り空と雷の音も、雨の容赦ない降り方、降りっぷりも、
ずぶ濡れでメンバー4人裸足になってしまうのも、もうなにもかもがよかった。
香椎由宇の美しい顔はしかしもう、彼女以外、あの役は考えられないのだった。
そしてペ・ドゥナ
体育館のステージ上の白い壁を背にして、一人夜中に仮想のメンバー紹介をする彼女の、
その画面いっぱいの存在感。なんだあれは。
あれって、だってふつう無茶だぞ。
あの場面がああも成り立ってしまうだなんて。
演出ももちろん素晴らしい。
でもひとりきり、バストショットのみで正面きって
スクリーン全体を覆ってしまうペ・ドゥナって。
彼女のために用意されたあのシーンを、十分以上に際立たせてしまうペ・ドゥナって。
ペ・ドゥナは今回、韓国から来たまじめな留学生という設定もあってか、
すっぴんかに見えるようなメイクで、香椎由宇のあまりにも整った顔との対比もあり、
一見損でもある。しかししかししかし。
リンダリンダリンダ」観て、ペ・ドゥナに惹かれない者なぞ果たしていようか。
ペ・ドゥナはもちろんスター女優であって、もしかするとこの映画での彼女の
映り具合に納得いかない点もあるかも知れない。でも更にもしかすると、
役者として、自分の役を果たすがために、敢えてああいう映り具合を
自分に課しているのやも知れぬ。わからん。
でもどっちでもいいぜよ。ペ・ドゥナは素晴らしい。それ以外なにが云える?
もっと思い出すべきことは沢山、いや、いくらでも、いや、すべてを、
とあるが、とりあえずこれぐらいで。