ケンタとジュンとカヨちゃんの国

The Who - Blue Red and Gray
「息もできない」はまだそれでもそれなりに出来のよさはあったし好感も持てたけど、「ケンタとジュンとカヨちゃんの国」はなんだか平凡で、物足りず、みんなあれか、70年代青春映画見たことないのか?ロマンポルノとか見たときないの?とか、つい思っちまう。
カヨちゃんが最後、唇拭うのは「勝手にしやがれ」だよねー。ベルモンド。
ほいで男子2人の道行きから海と空にゆっくりとパンするのは「気狂いピエロ」。
それだけじゃない、この映画にはきっとニューシネマからATGの青春映画、ロマンポルノだとかなんだかそんな70年代青春邦画のあれこれも入っちゃいるのだろうとは思うし、そういうのがやりたかったんかもしれんけど、でもなんかあんまり。

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↑コレはあんちゃんが雨ん中自転車漕んでるのとかいーんだよなー。恋人たちは濡れた
最初っからカヨちゃんのナレーションんとき、「愛して欲しい」みたいに言っちゃう、云わせちゃうのはまったくだってどーなのよ。それ、言っちゃうの?だもん。それもいきなり。
生硬なセリフ、説明的な独白、でもそんなんでも好ましい場合ってのがあるから、一概にはいえないんだけど、でもそういうのがもうひとつハマらないのは映画自体に強さがきっとないからだろう。(才能がないと言ってしまえば身も蓋もない)
タイトルバックあたりだったっけ?男の子2人がコンクリにドリル打ち込んでんだけど、それもなんだか、そういう画が欲しかっただけにしか見えなくて、ポーズつけてるだけにしか見えなかったょ。とても仕事してる風には見えないし、といってリアルじゃなくて抽象的な画でもまったく構わないのだけど、そのドリルの打ち込み、アイディア止まりでしかなくて、表現が膨らんでかない。見てるこっちに訴えかけて来ない。感動しない。ノー・エモーション。
はじめの方、事務所ん中でカメラが横移動してって、主人公の男の子2人まで2、3組ばかり話してる様子とか映るんだけど、その人たちがなんだか覇気がないというか精気がないというか、そういう人たちってことじゃなくて、演技のそれに、映画の出来がわるいばあい、エキストラとか脇役が特に絡むでもなくおしゃべりしてるシーンでだいたいわかっちゃうよね。画面がそこでとまってて、見てる人間の方まで飛び込んで来ないの。それにまたそのシーンではチンコに真珠入れて、みたいな話などもしてて、それってさー、ねー。そういう工事現場の事務所ったらなんかそんな話でもしてるんだろう、って、でもそれじゃーネタが弱いよ。いかにも頭で考えた思いついたセリフで。しかも気の利かない。
多部未華子が出て来るキャバクラのシーンて、いわゆる「ためにする」ってやつで、その後彼女と男の子のひとりがレストランで食事する「ため」の前フリ、キャバ嬢ですよ、こんな娘ですよ、って説明じゃんか。それじゃ。単に。キャバクラ、要らない。ダメ、ゼッタイ。この映画じゃ。あるいはキャバクラだけ、とかさ。レストランでの食事は要らなかったぐらい。
最近割り方、洞口依子は見かける気がしてる。まあおれが気づいてる、気にしてるようになってる昨今てだけだってことで、ネットのおかげで情報が入ってくるのもあるのでしょう。昔々、アイドルのレッスンを彼女といっしょにやってたことがある女の子とちょっとだけ親しかったことがあるんで、会社ん中でおしゃべりしたくらい、一度だけお茶したきり、つまりなんでもない間柄だったけどさ、まーともかく、洞口依子出て来るたび意識しちゃう。
70分のロマンポルノなら、ううん、映画が訴えかけてくるものに強さがあれば、最後の男同士の道行の無理やり感も、そんな身体でどうやってそこまで行ったんだよ、とっくに死んでんじゃねーのか?みたいなやつ、その不器用さ、無理くりが却ってグッと来たりするんだけど、でも、こんな長くて凡庸だと、なんだかわざとらしさが気になるばっかで、ノレなくなっちゃう。
安藤サクラの演技がだからなんかもったいなくなっちゃってるというか。ひとりの演技だけ傑出してても、みたいな。映画全体と釣り合ってないというか。彼女の演技が映画全体を超えてしまってる。彼女の演技の中にあるべき映画が詰まってるの。
彼女を通してありえたかも知れない傑作が見える。どこか別の世界のすばらしい映画から彼女がここまで旅をして来て、いまそこに映っている。
あとせっかくの大友良英の音楽なのに、ごく俗っぽくしか聞こえなくて、それももったいない。ありがち盛り上げBGMにしかなってないの。
観終わった後、口直しに「アフリカの光」(中身、まったく憶えてない)とか「青春の蹉跌」とか、そんなバリバリ70年代な邦画観たくなっちゃったよ。
(わ。「アフリカの光」も「青春の蹉跌」もDVDないのかょ!ありえねー)
ずっとジジイの井筒和幸の方がよほど、ちゃんと若者を描いているってどーゆーこと?ヒーローショー。
井筒監督だとニューシネマに思い入れがあるからこそ安易に再現なんかせず真摯に現在に可能なニューシネマを撮ってるというか。