國家は私達から、乙女の夢まで、取上げてしまふのでせうか。

歩道橋

16号の上に架かった歩道橋はぼくのうちの近所にあり、昼間でもあまり通る人もいない。
夜中、小さな安手のラジオを持ってそこにいった。
ラジオでなにを聞いていたかって鶴光のオールナイトニッポン
他には16号を走る車の音しかしない。
歩道橋の上は照明があって明るい。
この世界は楽しいんだろうか。
あまりそんな気もしない。
でも漠然と、ただ漠然と未来はあって、だから未来のことなんか考えなかった。
夜中の歩道橋にはぼく一人しかいないし、車の往来を眺めていた。