國家は私達から、乙女の夢まで、取上げてしまふのでせうか。

映画

「チャンス」の最初の方を観る。ピーター・セラーズがお屋敷を初めて出るときにデオダート版の
ツァラトゥストラはかく語りき」が使われてた。
「張込み」松本清張原作、野村芳太郎監督)を観た。
音楽は黛敏郎で、ジャズっぽかったりもする例のハッタリの利いた、こけおどし的な室内楽(?)で、
おれの好物だったが、映画の内容とはちょっとそぐわなかったかも。
58年の映画で、その頃はまだ蒸気機関車が走っていて、九州の佐賀駅が出て来るが、賑わいも
さしてなく、鄙びた風景で、たぶん今はビルとかがんがん建って賑やかなんだろうと推測した。
刑事達が移動の汽車の中、夏の暑い盛りなので、ランニング姿(タンクトップとかそんなんじゃない、
当時はまるきりの下着のそれ)になっていたのが印象的だった。昔はTシャツなんて概念も実物も
ないし、暑けりゃワイシャツとか脱いで肌着姿になるのが当然だったんだよなあ。あと家屋も
開けっ広げ、カギなんか掛けないのが普通だったし、大体家の中になれば尚更にカギの掛かる
部屋なんかありゃしない、襖一枚で仕切ってるだけ、音だって筒抜け、そんな中、みんなセックス
してたんだよなあ、とか考えてたりした。その上貧乏な家なら、アパートの一部屋、4畳半
あるいはせいぜい6畳に家族6人とかで平気で住んでて幾ら家財道具が現在より少ないとはいっても、
全くに狭い、そんな状態が60年代半ばまではあたり前にあったのを、だいぶん前の
NHKアーカイヴスでも見た。