國家は私達から、乙女の夢まで、取上げてしまふのでせうか。

珈琲時光

ガーリー・アイテム満載!
モーリス・センダック
件の映画中の絵本、"Outside over There"
(邦題「まどのそとの そのまたむこう」:絶版。参考⇒コチラ )。
この映画観る人で前作の「ミレニアム・マンボ」観てる人の割合ってどのくらい?
おれはスー・チーが好きなので、レンタル屋にあったのを偶々手に取り、「憂鬱な楽園」
劇場で観て以来の侯孝賢だった。
そして「ミレニアム・マンボ」がよかったので、そういや新作とかどうなってるのか気になり
調べたら「珈琲時光」がやがて公開と知った口。

ミレニアム・マンボ スペシャル・エディション [DVD]

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「憂鬱な楽園」も「ミレニアム・マンボ」もまともに働きもしない男と女、「憂鬱〜」だったなら
男はヤクザだし、「ミレニアム〜」にもヤクザは出て来るが(侯孝賢の映画にヤクザは付き物)、
とりあえずスー・チーと同棲してる若い奴は、自称DJ、クスリやるだけで、仕事なんかしやしない、
仕方ない(元々こちらも働いてない)スー・チーが水商売に出て稼いで来る手配、そんな風に
とても誉められたものじゃない男女を描き、台湾という都市の一風景を切り取っていたが、
今回は前回とは違い、ちゃんと仕事してる、とはいえ、女は20代半ばから後半くらいか、
フリーライターという不安定な職業、しかも東京に一人暮らし、男の方は古本屋の店主をやっては
いるが、そんなに商売熱心にも見えないし、とりあえず家業は継いじゃいるか、ってところ。
ただ言えるのは全然サラリーマンなんかじゃないってこと。二人ともが。「カタギ」とは言えない、
広義の水商売。まして女の方は実家に帰っても皿ひとつ洗わないし、台湾で知り合った男の、
子供宿して、それでいて男には期待せず、彼氏の実家の商売に関わるのが面倒ってのもある、
そしてアテもないのに一人で生んで育てるとか言ってるし、(群馬県)の高崎に実家があって、
東京に出て来て、住むのが雑司が谷鬼子母神近く、部屋の調度も(和室にわざわざ卓袱台だ)、
着ている物も(協力のところに「As know as」とか見えた)、被っているハンチングも、
行き先の喫茶店が古びた昔風のそれなのも、身の回りをそうやって小洒落とガーリーで固めている、
いってみればチャライ女の子で、(とはいえ、そういった描写にどこかしら身につまされる人は
いる筈で、おれだってそうだ)、そして一青窈の背の小さいのも、なんだかまるきりあんな子いそう
って感じで、全くに前作のスー・チーの部屋の調度がいかにもそれらしい、クラブ通い他、
結局は遊んでるだけのチャライ女の子とその彼氏だったならそんなとこ住んでそうだったし、
侯孝賢のそこらへんの調査の行届き具合、まことに素晴らしく、そして「はぐれ者」に対して
常にやさしい侯孝賢は、前回今回と、少し距離を置いて描いてはいても、出て来る者たちへの
視線は自然とどこかやさしく、少なくとも断罪はしない。
街頭ロケで、街中の人がキャメラに気づいてない場合が結構あって、ぜんぜんふつうの人が
ふつうに映っていたりするのだった。
あれなんだろう?隠しカメラ?それともカメラはあれど、一青窈があまりにふつうっぽくて
単に周りの人が気がつかないってだけ?(おれは見逃しちまったが、いっしょに行った
ヨッちゃん〔yacht-m〕によると、さすがに有楽町での浅野忠信のロケの時にはちらちらと
彼を気にする人が見えたらしい。まあ、浅野忠信じゃあな。気づくよな。オーラあり過ぎ。)
とにかく電車電車電車で、マニアの人の評を、もちろん映画自体は抜きで出て来る電車の撮り方他、
鉄ちゃんの視点での評、ってのを見てみたいものだが、電車といえばもちろん「恋々風塵」の冒頭、
汽車の中、幼馴染の2人が若干の微妙な距離を持って立っているオープニングシーンを思い起こさずには
いられないが、あ、ダメ、それだけでちょっと涙が、ええと、ともかくも電車、汽車を撮るのが
やたらと上手い、撮りたがる、侯孝賢はもしかして鉄道マニアなの?
少なくとも大好きだよな。鉄道。
劇中、一青窈が喫茶店ではホットミルク(「"珈琲"時光」なのに)、自宅でも牛乳ばかり
飲んでたのは、元々牛乳が好きなのか、それとも身体を気遣ってのことなのかしら。
気になりつつ、わからない。
実家は高崎、って設定なんだけど、協力に上田市(長野県)の名前も出てたからどこかしらの
場所、風景はきっと上田のそれなのだろう。(上田には親戚がいるんでな。つい気にもなる
ってもんさね。しかし実家が「高崎」って微妙な線をついてくるなあ。まるきり地方ってんでも
なくて、東京から微妙に遠い、しかしそう離れてるとは言い切れない。でも地方には違いなく。
日本の事、わかっていすぎ、侯孝賢。)
思いついたままなので文章が錯綜していたりもするが、推敲するような気持ちの余裕もない。
忘れる前に、熱のあるうちに、書くが吉。
パソコンは当然Macなのだ!小洒落た女の子がウィンドウズなんか使う筈ないのだわ。