國家は私達から、乙女の夢まで、取上げてしまふのでせうか。

100年前

人類の歴史が何万年か、何十万年か知らないけど、映画もTVも公教育も福祉も人権も
身分制の廃止も言論の自由も一人暮らしも核家族も医療が確実になったのもロックも
ジャズもファンクも歌謡曲もJ-POPも車も電車も食料の大量増産もその他その他もせいぜい
ここ100年かプラスアルファ程度の間のことでしかなくて、それ以前の方がずっとずっと長い。
近代以降なんて、人類史からしたらごく僅かの期間でしかない。そしてまた建前では
あってもヒューマニズムといったものが一般化したのもつい最近の出来事。人種差別も
戦争も一応「ダメ」ってことが世界的な共通認識になったのはまったくつい最近の出来事。
もちろん現状はまだぜんぜん、旧弊な価値観はふつうにいくらでもまかり通ってはいるけれど、
それでも小市民的価値観というか、ヒューマニズムというか、そういったものは普通に
持出されるし、わるいことしてても、「いや、一応ヒューマニズムは踏まえてますよ。
ただね、ちょっとこの場合は仕方ないんだ」みたいな言い訳付きにはなっている。
人類、結構歴史は長いと思うけど、ようやく最近になってだ。平等とか人権みたいのは。
そしてそれも思想とか、人類がこれまでのことを踏まえつつ、じゃなくて
(だって、だったら、もっともっと何万年か何千年前からとっくにそうなってる)
ほぼテクノロジーの発達に拠っている。食い物に困らない、風雪に殊更耐えずとも
快適な生活が可能で、薬や手術といった医療技術で多くの病気は治るようになって、
交通が発達し、教育が普及し、なんだかんだそんなことでヒューマニズムってことになった。
これは個人についてだが、ヴォネガットが言うように「ヒューマニズムというのは
わたしのようにある程度以上経済その他に恵まれた人間が始めて持つ余裕のできるものだ」
(引用不正確)といったようなもんだ。もちろん、といって問題は解決しない。
みなさん御存知の通り。だって人類の脳みその構造が変わったわけじゃないんだから。