國家は私達から、乙女の夢まで、取上げてしまふのでせうか。

栗尾美恵子

「栗尾美恵子」で人が来るッたら来るッ。正に旬。
で、したら今日なんかついに本人がインタヴューに犬連れて応えてるじゃないか。あれま。
(件の犬、インタヴュー中、粗相がありはしないか、と見ていておれはちょっと心配してた。)
彼女、被ってるキャップの鍔(つば)がよれてほつれてる風だったけれど、
あれがもしかして昨今のオシャレなのかしら?
もしおれがおんなじことやっても、単に貧乏にしか見えない。悲しいかな。
(あと関係ないが、なぜか街で見かけるオヤジは必ず「DJ HONDA」のキャップを被っている。)
彼女がかつてのオリーブの伝説とはそんな前でなく知ったが、
もう一方の夫人、河野景子ならば間近で見たことがある。
まだ池袋、ウエストゲートパークになる以前、単なる池袋西口公園だった時分、
そこでなんだったか、消防かなんかのイヴェントをやっていて、彼女は司会だった。
もちろんまだ結婚する前だ。舞台裏、といっても単に公園の隅、そこに彼女は待機しており、
ぜんぜん近くまで行っても誰も構わぬような状況だった。
特に意図して近づくでもなく、ごくそばに彼女が立ってたので、観察。
おれは元よりファンではなかったし、ルックスにも惹かれるところがなく、
有名人チェックの一環として見て、うむなるほどと思ったくらい。そんでおしまい。
オリーブ・モデルはオリーブ少女にあらず、と今日思いついたが、果たして。
かつてのオリーブの伝説もあんな風に泥臭いことに関わらなくてはならなくて、
下卑たインタヴューにも応えなきゃいかんのだよなあ。人生は儚(はかな)い。
きれいなものはきれいなままでいて欲しい。それが乙女の願い。
けどいつまでも乙女でさえいられない。
世間は薄汚く、自分も薄汚く、しかし世の中のそちこちには美しいものがあり、
自分の内にもまた美しいものも存在する。人生はややこしい。
しかも人間は面倒なことがきらいだ。単純なものをつい求めてしまう。
そんな求めはまた世に溢れ、それがまた世の中を息苦しく、ケチで
きたならしいものへと転じる契機ともなってしまうことの矛盾。