國家は私達から、乙女の夢まで、取上げてしまふのでせうか。

ヤング諸兄に告ぐ

大学生とか更にはそれ以下の人の書いた日記とかよくあるじゃんか。そういうの読むと
「ムフフ。オヌシ、青いぜよ。」(瓶底メガネに三つ編みで)とか思っちゃったりも
するこたするけど、でもさあ、おれ、考えてみたら、自分が二十歳とかそんぐらいに
なんか書いたりとかしてたら、大したこと書けねえよなあ、つまんねえことっきゃ
書けねえよなあ、ってたまに思う。そりゃまあ少しはネタッ気のあるようなことは
書こうとするかも知れんけど、でもきっと大した芸がない。
大体ヤングのみんな、たぶん二十歳のおれよりもずっとずっと物知りだ。すごいよね、
みんな知識とか。おれなんか二十歳ん時とか、ほんと、なんも知らない。
まして人付き合い、ともだち付き合いってやつが皆無だったんで、尚更に
知らないことが多過ぎる。もちろんセックスも恋人もキスも「つきあう」も
な〜んも関係ない、知らない。「ともだちと遊ぶ」ってのも全く理解できない。
だってともだちいなかったし。比喩とか比較的とかそういうんじゃなくて、物理的にゼロ。
電話が苦手だったよ。だって掛けたことも掛かって来たことも限りなくゼロだもん。
二十歳の時点で。電話、怖かったなあ。小学生の時からずっとずっと長い間。
どうしてデフォルトでみんなともだちいるかなあ、ってのは今でもしょっちゅう思うこと。
もっとわかんないのはおれよりもずっとシャイなタイプでもちゃんとともだちが
いるんだよなあ。どうやるとそういうことになるんだか、不思議だ。だってシャイなんだよ?
人見知りなんだよ?でもともだちがいる。ううん、わからん。(いや、わかるけど)
そこらへんの秘密がおれにもわかればよいのだが、しかしもう年だからコツが掴めても
もう充分遅い。カネもないしなあ。NAINAIフォーティー・ツーだよ。
ええとそんでなんだっけ?そうだ、22年前のおれがブログってたら、果たして?って話だ。
おれも年の功だから、まだそれなりに書けるけど、22年前じゃあなあ。だめだなあ。
それに知識とかそういうのんだけじゃなくてさ、二十歳のおれは色々と自信がないわけ
ですよ。着る物。わかんね。恥ずかしい。もちろんださい。二十歳のおれからしたら
今のおれは限りなくオシャレとも言えるくらい。全身ユニクロ、ジーンズにTシャツ
程度のカッコでも。おれさあ、二十歳ん時、一人暮らししてて、夜寝るときはパジャマ
だと思い込んでて、そんでそのパジャマ、1回も洗濯したことなかった。
不精とは違う。「洗濯する」って発想がまったくなかったんだ。そん時。だから
真っ黄っ黄に黄ばんだパジャマを毎日毎日、おれは1年、2年、よくわかんない、
もっとかも、なんの疑問も持たずずっと着てた。毎晩。一人でいると、
ともだち一人いないと、そんなことにも気がつかない。だから他人は大事だ。
面倒込みだが、でも他人と関わることのメリットは絶対にでかい。だから無理して
笑顔で、自分の意見を押し殺してでもともだちや仲間はつくるべきだ。妥協は
絶対必要だ。だってなにより、自分が欲しがってるんだもん。ともだちを。仲間を。
そしてそこには「いいことだけ」を求めちゃいけない。「いいことだけ」、
つまりは「純粋な状態」なんてものはこの世には存在しないからだ。
「この世界の本質はカオス」by ジョン・ライドン、いいもわるいも込みで、
「いいこと」めっけてくのだ。それっきゃないぜよ。「純粋」ってのは聞こえがいいが、
なんのことはない、物事の単純化、つまりは観念化、人間バカなので、要は自分の脳みそ、
「ぼくの簡単単純なメモリー」に合せてる、ってだけのことにしか過ぎない。
清濁合せ飲むのさ。自分にも「欲」ってもんがあるんだとハッキリと認めなきゃいけないのさ。
自分の欲にはちゃんと応えてやるべきなのさ。
あれっと、ええと、なんか話が。おれが今回話したかったのはだ、二十歳のおれには、
ヤングの皆さんのような気の利いたブログっぷりなんざ、おおよそ及びもつかんかったろう、
ってのが骨子なのだった。そんで更に、30歳をいくつか過ぎて、女性とつきあったり、
セックスしたり、ともだちが出来たり、着る物にも気を遣うようになったり、そんな
こんなで自信がだいぶんついて今のおれがいるので、それ以前のおれとじゃ、
だいぶん違うよなあ。なんかなあ。おれも成長したなあ。30歳過ぎてからだけど。
(この手の話の平均からするとおれのは10年は遅い。おれ調べ。いろんな意味でも。
仕事とかも含めて)おれがネット、そしてHPを始めたのって、正にデヴューしてから
間もなく、みたいなもんだもんなあ。その前だったなら、一体どんな調子で物書いて
たんだろう?なぞだ。というほどのもんでもないが。それにこの2、3年でまた成長した
ようなとこもあるし。だいぶん自信がついたんだ。ともだちとか、セックスとか、
女性に対してとか。
「モテる」と思ってる人がモテるわけだが、そういう意味ではいまのおれは「モテる」
という自信がそれなりにはあるしさ。まだまだ初心(うぶ)い所も、自信なくて、
ドキドキしたり、劣等感持つ場合もあるにしても、それでも数年前、まして二十歳の
おれと比べたならば格段の進歩だ。ただ惜しいかな、現実的に考えて、カネとか社会的
地位とか、女性と関係をそれなりに持つにはあまりにも不利、更にそういうのを
すっ飛ばすにはおれは余りにも臆病だ。まあ少しは好かれることもあるだろう、
とは思えるようにはなったが。でもそれは大きい。少しは好かれる場合もあるだろう
という、その自信のアルとナシとの間には越えられぬ壁がある。
ほんと、おれ、いろんなこと知らなくてさあ、世間知らずっぷりは大したもんだったよ。
30歳越える数年までは。おせぇー。
いまはだいぶん、というか、昔に比したらすげえ進歩。
おれ自身からしたらね。
あと、おれにオフ会とかで初めて会うようなことがあった際には「ともだちがいないとか
そんな風には見えない、ぜんぜんフツー。」とか言ってもらうと大変喜びます