國家は私達から、乙女の夢まで、取上げてしまふのでせうか。

宇宙戦争

今日観て来た。やっぱ『インデペンデンス・デイ』とは格が違う。
・・・・って、スピルバーグをあんな2.5流監督と比べたら失礼千万。
『ジョーズ』とかひさしぶりに思い出して見たよ。その恐怖っぷりで。
今更『宇宙戦争』かよ、とかも観る前は思ったけど、でもきっとこれが
やりたかったんだろうなあ。SFが特別だった(見下げられていた)
時代を知る者として。スピルバーグは。
今現在の技術と自分の演出の腕をもってして。
敢えて『宇宙戦争』を。『宇宙戦争』縛り。
70年代以来のカネの掛かったB級映画、ドライブイン・シアター・ムーヴィーの決定版。
しかも『宇宙戦争』。単純至極なストーリー、誰もが既に知っているオチ。元祖SF。H.G.ウェルズ
(あ。オーソン・ウェルズ忘れてた。あと『火星人ゴーホーム』もか。どこかお茶目な宇宙人。
つか、『マーズ・アタック!』シリアス・ヴァージョンか。)
火星人ゴーホーム (ハヤカワ文庫 SF 213)

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それはおれにしか作れねえんだよ!そんなマニフェスト。(穿ちすぎ)
50年代風レトロな冒頭のナレーションと最後のあっけないエンディング、
しかしその間を繋ぐ映画の現代性。空襲かとも見紛うエイリアンの奇襲に次ぐ奇襲。
充分怖かった。
ああでもおれとしてはいきなりトム・クルーズがバツイチ、って設定で、
おれの好きなスピルバーグだったのでその時点でケーオツ。
やっぱねえ、夫婦関係こわれてなきゃ。そう来なくっちゃ。
演出の数々はしかしほんと素晴らしかった。トム・クルーズの家が高架下にあり、
その2階家のデザインといい、隣家との境の金網とか、その前庭でのキャッチボール、
トム親子の着てる服、まずはそこらへんから、もう満足。
地下室に篭り、そのあくる日に外へ出ると地獄の火車が回っている。こえー。
地下室で敵のサーチ・マシンから逃げ回るのはまるきり『ジュラシック・パーク』の
二番煎じ、でもまだまだいけるそれなのでぜんぜんオッケー。
カネ払った甲斐があった。それが答え。
でもあれだなあ。大人になると悲しいのは「ここの演出が素晴らしい、優れている」って
了解の仕方になってしまい、ごく単純にお話にのめりこんでビックリしたり、興奮したり、
感動したり、ってのがそういう分析と平行しちゃうってところ。分析なんかしないで
いられたらどんなにいいか、ただただお話にのめっていたい、それがおれの毎度の願い。
でも叶わない。叶うはずもない。分析する楽しみってのもあるけど、でももうそういうのも
飽きちゃったしなあ。そんなのは人任せにしちゃいたい。でも自分でもやっちゃうけどな。
習い性だし、それも楽しいには違いないし。
できればおれはただただドラッグ効果のみを映画やドラマから得たい。
だって大人は疲れてるんだよ。それが甥っ子たちと遊んでいて、あらためて
わかった今日この頃。そうだったんだねえ。子供の頃にはそんなことは中々
わからないもんなあ。ええと。けどまあ、まだまだ幾らでも感動モードに自分を
持ってはいけるので、それでいいや。最近はますますお話の整合性とかどーでも
よくなって来たし、積極的に眼も瞑るようにしているのです。瞑りきれないけど。
気づいちゃうけど。でも気づかなかったフリを。自分にウソはつけるもんじゃないけどね。
バレバレ。でもいいの。がんばるの。明日を信じて。
(てゆーか、作者の志に感じるものがあれば、たとえそれが歪んでいても、
その歪みっぷりも含め、ぜんぜんオッケー、つかそれが一番肝心。)