國家は私達から、乙女の夢まで、取上げてしまふのでせうか。

自己嫌悪

以前は自己嫌悪ってなんのことだかわからなかった。
でも最近はなんかちょっとわかって来た。
自分が自分であることに飽き足らない。
自分程度の人間、人生でしかないことに飽き足らない。
自分が取るに足らないつまらない人間でしかないという認識でただ気持ちが凹む。
なんだかそんなことの積重ねだ。
前はそれでもとりあえず自分はこのままで、ただ周囲の状況やらがよくなればそれでいい、
そんな風に思っていたが、いまは違う。
自分自身がケチなつまらない人間でしかない、大したことなどなにも出来ない、人並みにもなれない、
なんかそれがわかって来て、ただ凹む。回復の機会が見えない。
たぶん、年を取り、以前はあった漠然とした未来がなくなってしまったからだろう。
そのうちなんとかなる、どこかでそう思っていたのが、なんかもうピリオド寸前でしかない、そんな認識。
自分は所詮その程度の人間でしかないから、こんな程度でしかなく、人に誇れるものもない。
なにもない。
社会の隅っこの隅っこにいて、それっぽっちのもんでしかない。
そういう思いは昔からあったけど、たぶん人づき合いも少しはあるようになって、けどその分、
自分の程度の低さが明らかになり、なんだかやんなっちゃう思いが体感的に強くなったせいでもある。
おれの得意なのはことばで、でもそればかりが突出していて、実人生に追いついていない。
自分の柄の小ささと比べても手に余る。
己の人生の薄っぺらさと比べればなお。
劣等感の強い、拙速で、実行力に乏しく、苛々としがちで、
そんなおれには自分のことばの巧みさが過ぎていて、おれよりもことばの方が遥かに大きく立派で、
実際の小さなおれが時に隠れてしまっているかに感じられて、少し怖い。
立派な人間である必要もこれっぱかしもないし、そういう考えではあるし、
自身がちっちゃくとも、真っ当ではあろうとの思いがほんの僅かでもあればいいじゃないか、
そうは思うけれども、でもやっぱり。