恋のアドヴァイス(KISSを少し)

ぼくにはもう正義の気持ちはない。
体制に「反」の字を付けるにはもう年を経て、年を取り、くたびれてしまった。
もういまさら目新しいものなんかなにもない。
あれでもない、これでもない、第三の道も、もう、とうに途絶えた。
その道にいるのは気のつくとぼくひとりで
他に誰も通らないのなら、
横切る人もいないのなら、
ぼくはここに立っていただけ。
足踏みさえしてなかった。
いつかひとりでない日が来ないものかといつもいつも望んでいて
それが叶うには結構なお金と相当な時間と
憂鬱と困惑と不安と焦燥と
この日もあの日も苛々がつづき
随分と代償を払った気もするが
ようやく話し方を少しおぼえてどうにかなった。
ならいいんじゃない?
そんなもんだ。結論のあるわけじゃなし。
でもなんか悲しいのはいつもいっしょ。
満足した気がしないのもいつもいっしょ。
小6のぼくと今のぼくに違いなんか別にない。
なんだかおんなじ。世界もおんなじ。
若い人にアドヴァイスする事は特にない。
教訓もない。
でもただひとつだけ。
思い出はないよりあった方がいい。
その方が少しマシかも知れない。
少なくともないよりは。
ヤな事もいっぱいあるんだけどさ。思い出したくないことだって。
でも中にひとつくらいイイもん、こさえとくってのは
そんなにわるい算段てもんでもない。
ちょっと気取って、目を合わせて、
ぎこちなくたって笑ってみせたら
そのうちキスぐらいできるようになるかも知れない。
ぬくいもんだぜ、彼女の口の中は。
役に立たないアドヴァイス。
以上は恋のアドヴァイス。