國家は私達から、乙女の夢まで、取上げてしまふのでせうか。

青春

ラブソング聞いて切なくなってみたかったよ。青春とふつうは呼ばれる時期に。
いまはそりゃ実感も持てはするけれど、いまじゃなくて、もっと若い時分にさ。
この年で恋が成就するにはカネが要る。
ともだちや仲間がいる学生時代、青春てどんなもんなんだろうなあ。
見当もつかない。そして憧れる。
ユーミン聞きながらドライブ。
毎日会う人のある生活。
ともだちのともだち。
年上、年下の知り合い。
夏は海。春は花見。
夜通しのおしゃべり。
ともだちの結婚。
ともだちの恋の成り行き。
誰と誰がどうして、どうなって。
新しいともだちが、知り合いが、ふだんのつきあいの中からまた始まって。
ともだちと海外旅行。
恋人。デート。
就職活動。就職。
人並み。それが望み。
しかし縁遠い。
関係ない。
それがおれの青春とは云えない青春。
スタバで。
目の前に大きな本を広げて勉強する女の子。
頭に毛糸の帽子。それにマフラー。
両方とも白い。
そんな子を見ると学生の頃に、
夜、こうして喫茶店でおれも勉強したかったと思う。
さびしい。
喫茶店に入ることすらできなかったあの頃。
喫茶店に行くことすら考えもしなかったあの頃。
ずうっとひとりぼっちで、部屋でただただもどかしく、
なにもせず、どうしようもなく過ごすしかなかったあの頃。
誰かといっしょに、夜、出歩いたり、遊び歩いたりだなんてまったく思うことすらなかったあの頃。
ただ、おしゃべりできる相手がいること、その程度のことを夢見ていたあの頃。
いまは昔ほどひとりぼっちじゃないけど、でもまださびしいよ。