國家は私達から、乙女の夢まで、取上げてしまふのでせうか。

風俗描写

川島雄三だったならば、60年代末、70年代を迎える時期に映画を撮っていたとしても、その風俗描写、
間違いないものだったろうなんて考えもするが、60年代半ばあたりからは着る物などのカジュアル化が
グンと進み、見た目での階級の消滅などあって、そこらへんから風俗の描き方が変ってきた、
変らざるを得なくなった気もするが、それは又、繁華街の中心が銀座から新宿へと移行した時期とも
一致する筈で、その分岐点を見極めたいところ。
映画の中で新宿がなにかと出るようになるのは果たしてどのあたりなんだろう?
東宝東映日活大映、どのへんかしら。シリーズものとかで云うと。
新宿へと人が、特に若者が集まり始めたキッカケってなんだろう。
なにが出来たんだろう。惹きつけたんだろう。建物とか、お店とか。
着物が大人の女性のスタンダードじゃなくなったのは一体いつからなんだろう。
例えば「宗方姉妹」なんかだと旧来の価値観の姉役の田中絹代は着物姿で、アプレの高峰秀子
洋装と実に判りやすい作りにもなっているが、それはまだ昭和25年あたり、その後十年とプラスαを経ると、
そうそうは着物など着ている人も減ってしまう。着物着ているのは年配の女性、ってとこか。
男はもう戦後、いや戦前から洋服なような気もする。着物を着ている男ってのは昭和になると、
だいぶん減るのじゃないか。そういったファッション史には疎いので、こういった場合、
隔靴掻痒、スッキリしづらい。ううむ。
映画の中のカジュアル化ってことで言うといつも気になるのが髪型。昔の映画は髪型がどんな場合でも
大概キッチリしている。乱れたって設定の場合でさえ、乱しましたよ、って但し書きの感じがするくらい。
印象としてはいつも髪油でちゃんと固めてる。
そうだ。ジーンズを着た奴が主役になったのはいつからなのか。60年代後半には違いないが、
おれとしてはも少し具体的な時期、作品が気になる。