國家は私達から、乙女の夢まで、取上げてしまふのでせうか。

映画鑑賞

ラブ&ポップ SR版 [DVD]』を観る。
(とはいえ、おれが観たのはビデオのやつ。DVDがよかったんだけど、なかったんだもん。)
これは昨日寝る前、別にそんな遅くじゃないけど、気になるのでちょいと観とくかと思い、
結局最後まで観てしまった。いや、おもしろかったからね。
(『キューティーハニー』観たんで、その流れなのは言うまでもなく。)
初の実写がビデオ撮り、ってのはどうせならアニメじゃ出来ないこと、いつもとは違うことが
やりたくての選択だろうし、それ以上に、バクシーシ山下カンパニー松尾平野勝之、その他の
優れたAV作品に触発されたから、おれもあれ、やってみたい、って事なのでしょう。
(あとあれだ、プライヴェートでハメ撮りとかしてて、その延長ってのもたぶんある。)
そんなことはみんな言ってるだろうが、おれはまだ人の感想とか特に見てないし、気づいた限りは
とりあえず口にしときたいのが人情。それにそこらへんのAV作品は、おれも一時関心があったし、
でもカンパニー松尾ってぜんぜんといっていいくらい観てない、それはともかく、中でも特に
バクシーシ山下は『セックス障害者たち (幻冬舎アウトロー文庫)』に出て来るやつは結構観てるし、
平野勝之はなんといっても『わくわく不倫講座』(林由美香の出てるやつじゃないので注意)、
こいつがまったくの傑作。観れてよかった。
AVはその時限りのもので、しかもレンタル屋に入荷するかどうかは殆ど偶然みたいな
もんだからなあ。以前住んでたとこの近所の店が幸いにもバクシーシ山下作品とか意識的に仕入れてた
のが大いに助かった。あれ、ダビングしときゃよかった。けど当時デッキは1台しかなかったしな。
V&Rとかは会社がしっかりしてると思われるので、マスターテープとかきちんと管理してるだろうから、
そこらへんのやつはなんか普通のAVとは別枠で、一般用(?)に販売とかってわけには行かないのかなあ。
扱い自体はビデ倫通ったAV作品には違いないけど、特に観たい人がいるだろうってことで、
再販というか、なんかそんなん出来ないのかしら。
あれだ。庵野だ。そっちにgo back!!
売春婦の話というのは最後必ず、「やっぱ愛だよNe!!」って結論に辿り着くのはお約束です。
アルファビル [DVD]』しかり。
まあそうじゃなくても売春婦ってのは映画や文学には欠かせないキャラ。
ごく話が作りやすい、ってのもあるだろうし、愛と性と経済と差別と労働と、いろんなテーマを盛込めます。
それにまた小説家なりなんなりにとっては身近な存在だ、ってのもありますな。
この場合、モテない人もそうですが、モテる人も悪所通いはしますね。とにかく女がスキだから。
(庵野監督はたぶんフーゾクとか大好きだと思います。)
あとよくあるのが「聖なる売春婦」。「罪と罰」のソーニャが代表ですね。
西洋の場合はもちろん聖書に基づいています。マグダラのマリア
(野暮な話ですいません。蛇足です。わかりきった話であっても、してしまいたくもなるのです。)
(あともうひとつありがちなのが、自身の女遍歴を反省するパターン。
庵野監督だったなら『エヴァ』が正にそれですね。)
ええと。またちょっとズレた。庵野だった。
ラブ&ポップ』、『キューティーハニー』がアニメのカットのみで構成された実写だったのと比べると
正にビデオキャメラならではの映像、ショットを意識的に採用していました。
スカートの中から足元を撮ってみたり。腕に括りつけたと思しきキャメラで撮ったショットとか。その他その他。
そしてその結果は相当に上手く行っており、『ハニー』が全体に弛緩した感じに見えてしまうのに比して
ラブ&ポップ』は完成度高いです。ショットはすべてキマっているし、しかもその流れも
密度濃く、飽きるところはありませんでした。
つうか好きだったな。だいぶ。寝る前に観始めても最後までつい観ちゃうようなもんがありました。
(『ハニー』も既におれのファイヴァリット・ムーヴィーのINDEXに収まっていますが、それはそれとして)
ただ『エヴァ』でもそうだし、『ハニー』でも、そしてこの『ラブ&ポップ』でもそうだけど、
テーマ、みたいのにぜんぜん共感出来ないんだよな。イヤだとかキライだとかじゃなくて、
興味ない。そこに示されている考え方みたいのに。他人事。「ふーん。」て感じ。
「そーなんだー。」みたいNa。観ればおもしろいけど、庵野監督に思い入れるような感じは湧いて来ない、っつうか。
でもまあそういう映画は結構多いか。よく出来てて好きだけど、テーマには興味ない、ってのは。
映画自体は好きだけど、テーマには興味がない。そういうケース。
この映画、でも「おれの見たい渋谷」が出て来て、それがうれしかった。
特定のどこ、って話じゃなくて、渋谷というとありがちな場所、映し方とは別のそれ。
なんてことない、つまんない、ちょっと外れた場所がロケ地に選ばれている。
あるいは三千里薬品の看板が映るような場合でも、キャメラの捉え方が違い、既存のイメージじゃない。
初の実写がアダルト・ビデオの手法を採用して、敢えてビデオキャメラで、その特性に沿った
ショットのみで構成されていて、実写2作目が、今度は打って変わってアニメのカットを敢えて採用、
それを実写化したのだとすると、次に来るのは?はて?(そしてきっと『ラブ&ポップ』が成功し、
キューティーハニー』が弛緩したのは、『ラブ&ポップ』の方が、監督にとってより切実なテーマを
元に為しえたもんだったからだろう。庵野監督はとにかくスケベなのだ。オンナ好きなのだ。
それを抑えて中途に大衆路線とか取ろうと無理するより、よりプライヴェートなテーマで、
私的な撮り方をした方が自分に正直な分、カッチリ行くのだ。『ハニー』じゃ、製作過程で
拡散しちゃうのだ。スポンサーとの交渉とかそういう渉外的なことはもちろん、お話を考え、
形にするに際しても。(あ。結婚したのが運の尽き、自分を出し切れなくなった原因?)
きっとそうに違いない。そういうことにしておこう、と日記には書いておこう。
(あ。『式日』ってのもあったか。ま、いいや。見てないし。細かいことはいいいんだ。
すべては単なるおしゃべり。合ってるとか合ってないとか、なんかそんな答え合わせみたいのには
まったくに関心を持てない。ライムの調子がよろしければ、整合性だの正解不正解だの、
正しいだの正しくないのだの、そういう類のもんは事毎に捨て去り、過去を省みない、
というとこまでの強さはないが、でも大概のことはどーでもいい。テキトーでいいよ。なんでも。
みんな細かいこと、言いすぎ。そんで細かくなればなるほど、正確なデータが集積されれば、
その分、より「真実」に近づく、みたいな考え方が蔓延しすぎ。「たったひとつの正解」があって、
そこに如何に辿り着くか、近づくかって考え方自体が間違ってるのに、みんな採用している。)